QoE(Quolity of Experience)プロジェクト

情報通信サービスにおけるユーザ体感品質(QoE)のモデル化

 最近ではネットワークや端末の性能が向上し、様々なサービスやアプリが利用できます。これまではユーザが感じるサービスのレベルをネットワークスループットなどのシステム側の性能指標で評価していました。よりユーザが実感している指標としてユーザ体感品質(QoE)という概念が提唱されていますが、サービス、ユーザ選好や環境条件により異なるモデル化が必要であると考えられます。当研究室では、より一般的なQoEモデルの検討やユーザの体感する「サクサク感」等を直感的に表すモデル化の実現について研究しています。

 実際に、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)や動画閲覧サービスを携帯端末で利用したときのQoE評価を、埼玉県と新潟県の大学生を対象に収集する実験を行いました。図1はその結果の概略で、地点Aが埼玉県、地点Bが新潟県のQoE評価を地図上に可視化した結果です。地点Aでは電車の路線上でQoE評価の記録が多く、その評価値も比較的高い数値となった一方で、地点Bでは施設や建物付近での端末使用が多く、QoE評価値は地点Aに比べると低い結果でした。

教育方針イメージ

図1 埼玉県と新潟県におけるQoE評価収集実験結果の地図上での可視化

ビデオストリーミングにおける色情報を考慮したユーザ体感品質の分析

 ビデオストリーミングサービスの利用は年々増加していますが、動画データは静止画やテキストに比べ、ネットワークの伝送容量を多く必要とします。ネットワーク帯域がひっ迫する状況ではデータ削減することも必要になりますが、既存手法である解像度の低下によるデータ削減に代わり、色情報を低下させることでデータ削減を行った際にユーザが感じる品質評価を実験により確認しました。その結果、品質評価はビデオのジャンルにも依存し、場合によってはQoEの低減を抑えつつデータの削減を行えることを明らかにしました。また、今まで行われていなかった動画像内の動きや文字といった視覚情報の定量化によって、QoE推定可能なモデルの検討や、ユーザの体感する「サクサク感」等を直感的に表すモデル化の実現についても研究しています。

ビデオストリーミングやゲーム体験時の生理指標とQoE関係性の研究

 モバイル環境で様々な通信サービスが利用できるインフラが構築されてきています。そのサービスが本当に満足がいくものかどうかは、システムの性能などを示すサービス品質(QoS: Quality of Service)の尺度よりも、実際にサービスを利用するユーザがどう感じるかに着目したユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)のほうがより好ましいと考えます。しかし、QoEは主観品質であるため、ユーザにサービスの利用ごとに評価を行ってもらうのは負担となります。ユーザが評価する手間のいらないQoE推定の基礎データとして、ユーザの身体の生理指標を測定し、そのデータとQoEとの関係性が見出せないかという研究を行っています。
 具体的には、ビデオストリーミングの視聴時に皮膚電気活動を同時に測り、ビデオの再生停止やスループットの低下による解像度の低下が発生したときに、その値がどのように変化するかを実験しました。その時にユーザが主観的に感じる評価値も記録し、これらのデータ間に相関があることを発見しました。
 また、モバイル環境でネットワークゲームをする際にネットワークの遅延があると操作しづらくなります。このような状況で生理指標がどのように変化するか、ここでは脳波を測定し、QoEとの関係性を調べています。