マルチエージェントシステム(MAS)プロジェクト

 マルチエージェントシステム(MAS: Multi-Agent System)とは、自律した行動主体であるエージェントをシステム内に複数配置し、エージェント同士の相互作用によって大域的な群行動を再現する手法です。システムの中に多数の行動主体がいて、実際の実験などではなかなか解きづらい問題を、計算機上で模擬的に再現することで一定の解を求めていくシミュレーション手法となります。

MASを用いた都市避難シミュレーションによる人間行動分析と情報伝達のあり方

 わが国は地震や津波などの大規模災害の発生が多く、近年はその傾向がますます強まっているように思われます。様々な災害を想定して、有効な防災対策を検討することが被害規模の縮小に必要と考えられますが、種々のシナリオを想定した大規模な防災訓練を都市部において実施するのは困難であると言わざるを得ません。そのため、当研究室では避難する人をエージェントとしたMASを用いたコンピュータシミュレーション環境を構築し、様々な場面を想定した計算機実験を行ったいます。

 シミュレーションを行う上で、できる限り実際の人の動きに模したモデルを用いるのが望ましく、特に避難時の人の心理状態をエージェントに取り入れた環境構築をしてきました。私たちがこれまで実現してきた心理バイアスには、正常性、同調性、愛他性、追従性があります。また土地鑑の有無による避難状況の違いなどもシミュレーションで実現してきました。図1に一例として追従性のモデルの概要を示します。
 現在は、これらのモデルを基にして、避難者に効率よく災害情報や避難情報を伝える手段について研究しています。

目標イメージ

図1 避難時には多くの人がいる方に同調しやすいという追従性があり、それをモデル化