
私たちの身の回りの水や空気の流れは、多くの場合、不規則な渦を伴った乱流になっています。機械の中で発生する乱流を予測し、上手にコントロールすることで、その性能を向上させることができ、自然エネルギーを利用するための新しい機械の開発(図1)などに応用することができます。
研究室では、近年急速に発達した高性能計算機による数値シミュレーションや、可視化によって、乱流の動きを詳しく捉えて、現象解明に向けた研究を行っています。図2は、油を細かな霧の状態に微粒化して燃焼させる装置の中の熱と流れの数値シミュレーションの例です。この装置では、油の微粒化だけでなく、その蒸発、酸素との混合、さらに燃焼が乱流中で生じ、化学反応と相変化を伴った混相流となっています。最近の計算機とソフトウェアの発達によって、このような複雑現象を短時間で簡単に計算できるようになりました。このようなシミュレーション技術や、可視化技術を応用して、図1に示した自然エネルギー利用ガスタービン発電機の開発を進めています。さらに企業や研究所の人たちと協力して、図2のような小型ジェットエンジンの開発にも応用を展開しています。流れや熱の移動に関する基本的な現象を詳しく調べることで、新型機械の開発に繋がる発想が得られます。学生の皆さんには、流れと熱の基礎的な科学を身に着けて頂くよう丁寧に指導しています。

図1 自然エネルギー利用ガスタービン発電機の試作機

図2 燃焼器の熱流動シミュレーション

髪の毛より小さな機械を作れる最先端のマイクロマシン(MEMS)製造技術の開発やその技術を活かした最先端のセンサ・デバイスの研究開発を行っています。
MEMS技術は、フォトリソグラフィをベースにした加工技術であり、携帯機器、自動車や医療機器に至るあらゆる分野で利用されている次世代の機械加工技術です。本研究室では、マイクロ空間の特徴を利用したセンサやデバイスを、大学院生が自らのアイデアをベースに設計、自作、実証し、特許出願するなど研究を通じた実践的な教育を実施しています(図1)。その実践的な教育研究を側面から支援する技術として、メーカーと世界最小サイズのデスクトップDRIE装置(マイクロマシンを作る装置)や本研究室外では困難な微細加工技術の開発(図2)も行っています。これらの技術の開発を通じて、従来のNCマイクロ切削加工装置から世界最先端のMEMS製造装置(図3)まで幅広く加工装置を使いこなせるものづくりのスペシャリストが育ちつつあります。
皆さん、機械システム工学科に入学してアイデアをカタチにできる実力を身につけ、それを武器に、先輩達と一緒に未来を創りましょう!

図1 自らが考案したセンサ・デバイスの試作に挑戦する大学院生

図2 微細加工例
左:石英基板の立体的微細加工(妙高山)
右:チタン製マイクロスプーン

図3 開発中のデスクトップDRIEを操作する大学院生