
私たちは、普段商品を購入したりサービスを利用したりするとき、企業のマークや商品・サービスの名前である「商標」を一つの目印として選びます。商標はいわば企業や商品の顔ともいえるものであり、グローバル化が進む現代社会において、商標保護の重要性がますます高まっています。
商標は特許庁のデータベースで管理されており、類似した商標は登録できません。商標の登録件数は年々増加しており、新規に登録申請された商標の類似審査には大変な労力が伴います。最近では、文字や図形に加えて、動き、音、色彩の組み合わせなども商標の対象として登録できるようになりました。商標登録数が増大し、商標の表現形態が多様化していく中で、多種多様な商標に対する審査を人間の手だけで行うことは限界があり、コンピュータによる支援が不可欠です。
私たちの研究室では、多様化する表現形態に対応した類似商標検索システムの研究開発に取り組んでいます。そこには映像処理、画像処理、音信号処理をはじめとするマルチメディア情報処理技術、巨大データベースに対する高速検索技術など、情報工学の先端技術が利用されています。

類似商標図形検索システムの開発

類似商標検索システムによる商標審査支援

スマートフォンや無線LANの普及に伴って、身近な端末を用いて高速通信が実現できるようになっています。高速通信を実現する手段として、アクセスポイント(AP)と端末(UT)に複数のアンテナを配置し、それらの間で複数のデータを同時に送受信するMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送が導入されています。MIMO伝送では、APとUTの間における伝搬路の応答(伝搬チャネル)の情報を利用して高速通信を実現しますが、この伝搬チャネルが人の移動などにより変動すると特性が大きく低下します。
本研究では、この伝搬チャネルの変動を利用して、人の検出を実現するための研究開発を行っています。Wi-FiやZigbeeなどの信号を用いて、屋内侵入者検知、屋内位置推定、生体活動検出、人の移動経路推定などを実現するための研究を進めています。

空間センサの動作原理

空間センサの適用例