工学部の化学は他の学部とどう違う? 工学部の化学は他の学部とどう違う?

高校の化学は理学の化学 高校の化学は理学の化学

「なぜ」をどんどん突き詰め、掘り下げる。
物質の性質や反応の仕組みが主な対象。
料理人に例えると、「どう焼けるか」「焼いたらどうなるか」といった料理の手法に目がいきます。

農学部や薬学部、医学部の化学 農学部や薬学部、医学部の化学

バイオや薬、治療との分野に特化。
料理人に例えると、特定の種類を極める専門シェフです。

工学部の化学 工学部の化学

人々の暮らしを良くするために使います

新素材、医薬・医療、エネルギー、環境などの分野に応用し、知識を深め、統合して「夢の〇〇」を実現します。

料理人に例えると、ホテルレストランのシェフです。
多くの種類の料理を多くの人々に味わってもらうことができます。

工学部の化学

工学部の化学の特徴は、枝を広げた大樹のように応用範囲がとても広いことです

工学部の化学 ▶ 暮らしを豊かにする化学 工学部の化学 ▶ 暮らしを豊かにする化学

エネルギーや、他の製品の原料になる中間原料、化学製品、食品、医薬品は、必要な量を作ることにより、人々の生活を支えることができます。素晴らしい機能をもっている原料であっても、需要を満たす供給量がなければ、社会生活を豊かにできません。工学部の化学は、原料を必要量生産するための社会基盤になっています。

こちらも、料理に例えると、化学製品は料理に相当します。おいしい料理は、新しい機能や高い機能を持った価値の高い製品ということになります。王様の料理人であれば数人分の料理を作れば良いのかも知れませんが、多くの人を幸せにする、つまり、多くの人に味わって貰うためには、何十人分とか大きなパーティであれば何百人分の同じ料理を作る必要があります。肉や魚も同じ大きさのものをそろえる必要があります。おいしい料理を作るためには、「良い食材」「良いレシピ(料理方法)」の両方が必要です。何百人分の料 理を作るためには、その食材をそろえなければなりませんし、料理を作る作業を監督する必要があります。

工学部の化学は、大きなホテルの総料理長にも相当します。

「良い食材」は「新素材や新エネルギー、機能性材料」に相当します。「良いレシピ」は効率よく環境に悪影響を及ぼさない製造方法に相当します。

工学部の化学 ⇒ 食材担当▶応用科学 ・ レシピ担当▶化学工学 工学部の化学 ⇒ 食材担当▶応用科学 ・ レシピ担当▶化学工学

化学システム工学プログラムでは、
レシピにも詳しい食材担当
食材をよく知っているレシピ担当
そして担当が変わっても活躍できる
応用力の高い人材を養成しています。

化学の食材 ▶ 応用科学 化学の食材 ▶ 応用科学

化学の食材は、機能を極限にまで高めた材料です。
新しい材料が開発されると、新しいレシピが作られ、新しい料理つまり新しい製品が開発され、暮らしが豊かになります。

化学の食材を担当する応用化学には大きく5つの分野があります。

  • 無機化学

    無機化学は無機物質を扱いますが、食材の中では食塩やベーキングパウダーが代表でしょう。この写真はスパイス類ですが、無機物質の中には触媒のように化学反応の中でスパイス的な役割を果たす材料が数多くあります。

    無機化学
  • 有機化学

    有機化学では、分子の構造を設計し、精密に組み立てています。天然化合物の中から有用物質を探索したり、その有用物質を合成する方法やさらに価値を高める方法を開発したりします。

    有機化学
  • 高分子化学

    高分子化学は工学部に特有の分野です。繊維やプラスチックが一番身近な例でしょう。分子の連なりが大きくなると、新しい性質が現れるようになります。
    現在の私達の暮らしの中で高分子が果たす役 割はとても大きくなっています。

    高分子化学

分析化学と物理化学はすこし特性が違います。
無機、有機、高分子といった材料の違いではなく、これらに共通の基盤を持っています。

  • 分析化学

    材料の量と特性を正確に計るのが分析化学です。測ることができなければ、何をどれくらい合成したのか全くわかりません。分析は化学の基本です。

    分析化学
  • 物理化学

    物理化学は、物質の変化や混合物を扱う化学です。物質がどのような状態にあり、どのように変化するのかを調べます。物理化学は理学、工学の基礎学問として重要です。

    物理化学

化学のレシピ ▶ 化学光学 化学のレシピ ▶ 化学光学

食材が良くても、料理方法が悪ければおいしい料理は出来ません。食材を生かすも殺すも料理方法次第です。
化学のレシピで重要なことは、素材を生かすことはもちろんですが、素材を無駄にせず、捨てるところをできるだけ減らすこと、エネルギーを無駄遣いしないこと、同じものを作ることです。

化学のレシピを担当する化学工学には、反応工学、単位操作、移動現象論、品質管理・プロセス管理 といった分野があります。いずれも、難しそうな名前ですが、内容は身近なものです。

  • 反応工学

    厨房には、いろいろな大きさと形の鍋や釜があります。シェフは調理するものと量によって鍋や釜を使い分けます。化学反応も同じです。同じ化学反応でも、反応装置の形や運転方法が違うと、反応の進み方が違って、生成物の量が違ってきます。反応に一番良い反応装置と運転条件を見つけ出すのが反応工学です。

    反応工学
  • 単位操作

    料理をするとき、煮たり、炒めたり、蒸したり、焼いたりする作業をします。パスタを煮るのと、ジャガイモを煮るのと、魚を煮るのとでは材料は違いますが、煮るという共通の作業です。この共通の作業を単位操作といいます。単位操作を組み合わせて料理ができるわけですから、単位操作を知っていれば組み合わせ方次第で応用が無限に広がってゆきます。

    単位操作
  • 移動現象論

    移動現象論では味のしみこみ方、熱の伝わり方、液体の混ざり方を調べます。どれくらいの時間加熱すればよいか、混ぜればよいかなど、反応工学や単位操作の基礎となる分野です。

    移動現象論
  • 品質管理・プロセス管理

    品質管理、プロセス管理は、同じものを手際よく作るための学問です。レシピそのものを作ったり、 総料理長として各料理人の指揮に当たります。

    移動現象論

化学システムの守備範囲 化学システムの守備範囲

電子軌道の大きさはオングストロームくらいで、原子や分子の配列を整えるのはナノメートルくらいです。これくらいは分子一つの大きさですが、合成する規模は基礎研究のビーカーや試験管の段階から、工場の大きさまであります。さらに、水環境や大気環境、地球環境も相手にします。
地球のことを考えながら原子や分子を見つめていたり、ミクロやナノの現象を考えながら工場や地球 を見つめていたりします。電子軌道から未来を創るために、我々の視野はオングストロームからメガメートルまで広がっています。

電子軌道から未来を創る

卒業生・在学生からのメッセージ 卒業生・在学生からのメッセージ

Message 01

学部在学生

初めて学ぶ工学としての化学

化学システム工学プログラムの化学工学コースでは、単位操作や装置の設計、流体力学などの高校では学ばないことも学ぶことができます。今まで学ぶ機会のなかった分野なので難しい部分もありますが、物事を新しい見方で見ることができるようになります。また、現実の問題に関連させて学ぶことが多いので、学んでいることが将来どう使われるのかを認識しながら学習できます。皆さんも是非今まで学ぶことのなかった工学としての化学を学びに来てください。

R. S. さん(男性)
2021年 工学部工学科化学システム工学プログラム化学工学コース 在学

Message 02

学部卒業生

基礎から応用まで、
物理・化学の専門的な知識を学べます。

化学システム工学プログラムでは、理論的な化学や工業的・環境的な化学について幅広く学ぶことができます。卒業研究や大学院での研究では学部生時代に学んだ化学の基礎から応用までの幅広い専門的な知識が生かされており、実験やその結果に対する解析・考察にも大変役立っています。専門的な知識を身につけることで物事をあらゆる角度から捉えることができるようになるため学部での講義や修士の研究活動が面白いものとなります。皆さんも是非新潟大学で多くの知識を学び、将来に向けて頑張ってください。

F. O. さん(男性)
2021年 大学院自然科学研究科(応用化学系)博士前期課程 在学
2021年3月 化学システム工学プログラム応用化学コース 卒業

Message 03

学部卒業生

実験や研究に取り組む経験が仕事に役立つ。

私は現在、製品の基盤開発における信頼性評価業務に携わっています。大学で学んだ化学に関する知識が直接活かされるお仕事ではありませんが、学生時代に培った実験や研究への取り組み方など、大学で得た様々な経験が役立っています。新潟大学では自分の専攻分野以外にも幅広く学ぶ機会があり、多くの新しい世界に触れることができます。是非皆さんも勉強だけでなく、豊かな学校生活を楽しみながら将来に向けて頑張ってください。

C. S. さん(女性)
勤務先 株式会社コロナ
2017年3月 化学システム工学科化学工学コース 卒業

Message 04

大学院修了生

得意以外の分野も全力トライ!

私は半導体封止材の開発に携わっています。材料の開発では柔軟な発想が求められるため、多くの知識が必要ですが、大事なのは何事にも全力でトライしていくことだと思います。化学システム工学プログラムでは化学の専門的な知識だけでなく、幅広い知識を習得することができ、それが現在の仕事にも活きています。自分が得意なこと以外にも様々なことに全力で取り組んで、自分の夢を実現してください。

A. T.さん(男性)
勤務先 信越化学工業株式会社
2018年3月 大学院自然科学研究科(応用化学系)博士前期課程 修了
2016年3月 化学システム工学科応用化学コース 卒業

Message 05

大学院修了生

あらゆる業界で活かすことができる。

化学システム工学は、あらゆる業界で活かすことができる学問です。私は、化学システム工学で学んだ知識や経験をより広い視野、より高い視点で、より生活に身近な分野に役立てるために、環境系エンジニアリング会社に就職しました。会社では、技術者として脱炭素や循環型社会の構築へ貢献するため、廃棄物処理施設やバイオマス発電所の設計や顧客へのコンサルティング業務を行っています。業務範囲は多岐にわたりますが、学生時代に学んだ知識や研究活動で得た経験が非常に役立っています。

M. S. さん(男性)
勤務先 (正式名称)株式会社荏原環境プラント
2021年3月 大学院自然科学研究科(化学工学系)博士前期課程 修了
2019年3月 化学システム工学科化学工学コース卒業

Message 06

大学院修了生

理論から応用まで幅広い知識を習得できる。

新潟大学の化学システム工学プログラムでは、幅広い基礎教養(化学全般・物理・数理・電気等)を学んだうえで、より専門的な応用化学・化学工学分野の学習・研究に取り組むことができます。私は大学での研究を通してエネルギー分野に興味を持ち、現在はエネルギー供給設備の設計に関わるエンジニアをしております。エンジニアとして必要な理系全般の幅広い基礎理論と研究生活で得た専門知識を活かすことができています。「新潟大学で学べて良かった」と必ずや感じられると思いますので、期待を胸に勉学に励んでいただきたいです。

S. K. さん(男性)
勤務先 東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
2020年3月 大学院自然科学研究科(応用化学系)博士前期課程 修了
2018年3月 化学システム工学科応用化学コース 卒業

Message 07

2021年度卒業生からのメッセージ

学んで良かったこと,後輩に伝えたいこと

毎年,卒業間近の4年生にアンケートをしています。回答の中から,このプログラムで学んで良かったことと後輩に伝えたいことを紹介します。

     
応用化学コース
     
  • 研究室での1年間が特に勉強の仕方を学んだ期間だった。自分の研究テーマなので、自分がわからない箇所はどのような部分なのか、そのために必要な知識はどこで得られるのかを模索しながら勉強していったため、授業内では何を言っているのかすらわからなかった内容も理解することができた。実際手を動かしながら研究することで学部3年分以上に充実した学習をすることができたので満足している。
  •      
  • 幅広い分野の授業が用意されており、自分が学習したいことを選択的に学べたことに満足している。学生実験において主体性を持たせつつも困難にぶつかった時は丁寧な指導があったためやりやすくて良かった。
  •      
  • 応用化学のみならず、化学工学系の講義もいくつか受講したことによって視野が広がったと感じる点。具体的な内容はきちんと覚えていないにしても、一度は学習した経験があれば、社会にでてから必要とされても抵抗感なく取り組めるのではないかと感じるため。
  •      
  • 私は応用化学の学生ですが、化学工学コースの講義もいくつか受講することができました。他大学の学生よりも幅広い知識を身に着けることができた点に満足しています。
  •      
  • 三年次までに学生実験を行うことで、実験器具などの取り扱いやコミュニケーション能力を養う事ができ、四年次に卒業研究がスムーズに行うことができる点
  •      
    化学工学コース
         
  • 応用化学や化学工学など,化学に関する専門的な知識を広く学べたこと.この学科に入学しなければ勉強できなかったことも多いと思う。
  •      
  • 化学知識を用いた具体的なプラントや反応装置などの学習をしたことで自分の将来にどのように活かすかと言う予想がしやすかった点が良かったと感じる。
  •      
  • 実験科目や研究活動では、計画を立て期限までに達成するという社会で必須の力を向上させることができたと感じるからです。また、課題を行う上では分からなくても諦めずに考える力、人に相談、質問する力を養えたと思います。
  •      
  • 課題が多かったり難しかったり大変なこともたくさんあったが、今となってはその経験が自分の成長のために必要だったと思う。
  •      
    良かった点と後輩に伝えたいことはこちら

    卒業生の進路 卒業生の進路

    化学システム工学科の卒業生は、化学・製薬・素材・環境関連はもとより物質を扱う全ての製造分野で活躍しています。また、情報通信分野やサービス業へ就職する人や公務員になる人も多くいます。さらに、約6割の卒業生が高度な専門知識を必要とする職業に就職するために大学院に進学しています。

    卒業生の進路

    主な就職先(大学院修了を含む、五十音順)

    旭カーボン(株)、エーザイ(株)、オリンパス(株)、花王(株)、(株)クラレ、(株)コロナ、十全化学(株)、信越化学工業(株)、住友化学(株)、第一三共ケミカルファーマ(株)、ダイニチ工業(株)、大陽日酸(株)、武田薬品工業(株)、帝人(株)、デンカ(株)、DOWAホールディングス(株)、東洋紡(株)、ナミックス(株)、新潟県庁、新潟市役所、日揮触媒化成(株)、日産化学工業(株)、日本曹達(株)、東日本旅客鉄道(株)、日立化成(株)、北越コーポレーション(株)、北越工業(株)、北陸ガス(株)、水澤化学工業(株)、三菱ガス化学(株)、三菱ケミカル(株)、YKK(株)

    取得可能な免許・資格

    教員免許
    高等学校教諭1種免許状(工業)
    資  格
    技術師補(JABEE修了者) / 危険物取扱主任者(受験資格) / 安全管理者(1年の実務により試験免除) / 熱管理者(短期研究受講資格)