新潟大学工学部福祉人間工学科

大学院自然科学研究科
准教授
岩城 護(いわき まもる)

専 門

音情報処理,ディジタル信号処理,波形の瞬時特徴解析

主な研究課題

[音源分離に関する研究]

日々の暮らしの中で耳にする音は多数の音源から発せられ我々の耳に到達している.そのような中で我々はいかにして聴くべき音を発見し,それを聴きつづけることができるのであろうか.実際,人間は,大勢が会話している中でも相手の話を聞き取れるし,雑音の中からでも信号を聞き分けることができるのである.このメカニズムの解明と工学的な応用を研究する.雑音除去,音声認識,聴きやすい音声への変換などに応用できる.

[音声分析合成に関する研究]

音声はコミュニケーションメディアのひとつであり手軽な反面,それがあまりにも基本的であるが故に不自然さが耳につきやすく,高音質化するとデータ量が大きくなる.また,早口,曖昧な発生などは機械的に分析が困難なだけではなく,人間にとっても聴き難い音声である.音声の分析合成においてパラメータの重要性にランク付けしたり,パラメータを変形したりすることによって高音質,少データ量,聴き易い音声合成を目指す.

[聴覚心理物理と生理信号に関する研究]

聴覚は休むことなく外界の刺激を受けつづけている感覚であり,大きな音や長時間の受聴などで疲労することが知られている.例えば,人間の基本的な聴覚特性を調べる際に心理物理実験を行うことがあるが,それは被験者に少なからずストレスとなり,疲労した結果,測定したい特性に影響することがある.聴覚心理物理的な特性の変化,生理信号の特性の変化,ストレス・疲労の間の関係を解明する.

[波形の瞬時特徴解析に関する研究]

音声は時間波形の代表的なものであり,その特徴は時間的にほぼ定常なものと瞬時的で時変的なものとがある.従来は局所定常な部分の連続として分析されることが多かったが,瞬時的な特徴分析には適さなかった.自然観測法理論はこの難点を克服すべく開発された波形表現法であり,それを用いた波形解析理論が展開されてきている.ここでは,この理論的な展開と音声処理への応用に関して研究する.

[ディジタルフィルタの設計法に関する研究]

信号処理を実現するものとしてディジタルフィルタが一般的となっている.対称な係数からなるフィルタは特性が明白であり素子数を少なくできるという特徴を持っており,これによって任意のフィルタを分解表現することができる.この一般構造を解析し,それに着目したディジタルフィルタの設計法を構築するについて研究する.

主な著書・論文

  • Koichi Ichige, Mamoru Iwaki, and Rokuya Ishii, "Accurate Estimation of Minimum Filter Length for Optimum FIR Digital Filters," IEEE Trans. Circuits and Systems II: Analog and Digital Signal Processing, vol. 47, no. 10, pp. 1008-1016, 2000.
  • Mamoru Iwaki, "Auditory Perception of Amplitude Modulated Sinusoid Using A Pure Tone and Band-limited Noises as Modulation Signals," 6th Int'l Conf. Spoken Language Processing, vol. III, pp. 610-613, 0ct. 2000.
  • Mamoru Iwaki, " A Vocal Tract Area Ratio Estimation From Spectral Parameter Extracted by STRAIGHT," 6th Int'l Conf. Spoken Language Processing, vol. IV, pp. 596-599, 0ct. 2000.
  • 飯島 泰蔵 , 岩城 護, "正規型自然観測変換の瞬時特性について", 信学論(A), vol. J81-A, no. 11, pp. 1575-1582, 1998.
  • 岩城 護 , 飯島 泰蔵, "離散時間波形に対する自然観測法について", 信学論(A), vol. J79-A, no. 3, pp. 728-735, 1996.

所属学会・国際貢献・国内貢献等

  • 電子情報通信学会会員( 1988-)
  • 日本音響学会会員( 1997-)
  • IEEE(1995-)