電子デバイス

近年,有機電界発光素子などに見られるように有機分子が電気電子材料に応用されてきています. 本研究室では,このような有機材料の超薄膜の機能性を調べ,応用に結びつけるための研究を行っています.特に,光によって金属表面の自由電子を振動させた“表面プラズモン”を用いて,ナノメートルオーダーの薄膜の構造や光物性を評価しています.また,励起色素分子による表面プラズモンに基づく発光についても詳しく調べており,新しい光デバイスやセンサなどへの応用を目指しています.さらに,物質の近傍に局在した光である「近接場光」を使って,通常の光では不可能な微細サイズでの加工や高感度なガス・バイオセンシングの研究も行っています.他にも,新しい有機薄膜トランジスタの提案や導電性ポリマーによるマイクロ・ナノワイヤーの作製などを行っています.
主な研究テーマ
- 表面プラズモン励起を用いた薄膜構造評価,高感度センシング
- 薄膜構造制御と表面プラズモン発光
- 近接場光と水晶振動子微量天秤を用いた多機能センシング
- 原子間力顕微鏡プローブによる導電性高分子薄膜のナノマニピュレーション
- カーボンナノチューブ/有機複合薄膜,ナノパターニング など
薄膜デバイス

近年のハードディスク,光ディスク,半導体などの高性能電子素子から構成される電子デバイスの多くに,厚さがナノメートル(nm,10億分の1メートル)程度の薄い膜が用いられています.これらの薄い膜は,色々な原子を人工的に配列し,作り出されています.このため,高性能電子素子の特性向上や小型化,あるいは新規電子素子を実現するためには,原子の配列や積み重ねを制御する必要があります.また,これらの薄い膜の作製には,薄い膜にしたい材料にイオンを衝突させて,基板上に作製する,「プラズマスパッタ法」と呼ばれる方法が多く用いられています.この様なことから,本研究室では,高性能電子素子の特性向上や小型化,あるいは新規電子素子を実現するために,必要としている原子の配列をプラズマスパッタ法によりどの様に実現するかや,材料探索,新規プラズマスパッタ法の開発などの検討を行い,作製したい電子デバイスの実現を目指しています.
主な研究テーマ
- 調光ミラー用合金薄膜の作製と検討
- スパッタ法による圧力センサ用アルミン酸ストロンチウム薄膜の開発
- 有機EL素子用透明導電膜の検討
- 透明導電薄膜の材料及び作製方法の検討
- 新規スパッタ法(スパッタビーム堆積法)の開発
- RF-DC結合形スパッタ法の酸化物薄膜作製への応用など
創エネルギーデバイス

太陽光発電は、第6次エネルギー基本計画に定められた2050年カーボンニュートラル達成のための基幹技術であり、国連の定めた持続可能な開発目標(SDGs)達成のためにも必要不可欠です。本研究室では、将来の日本のため、そして世界のエネルギー・環境問題を解決するため、太陽電池などの環境発電デバイスの高性能化や長期信頼性を目指して、太陽電池材料から屋外実証評価までを一貫して研究を実施しています。特に、ナノ構造・複合膜を用いた界面制御材料、ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池を組み合わせた高性能タンデム太陽電池、封止材を用いない太陽電池モジュール、屋外実証サイトを対象として研究しています。さらに、雨や雪をエネルギー源とするデバイスの開発も実施しています。これらの研究を学内の他研究室、国内の大学・国公立研究所・民間企業、さらには海外機関と連携して推進し、エネルギー・環境問題の解決を目指しています。
主な研究テーマ
- シリコン系太陽電池のキャリア選択材料に関する研究
- 雨・雪エネルギーハーべスティングデバイスに関する研究
- ペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池の長寿命化
- リサイクルが容易な新概念太陽電池モジュールに関する研究
- 屋外実証サイトでの太陽光発電量評価 など