特色ある授業
Feature
社会基盤設計基礎
2年次に進級して最初に学ぶこの科目では、実際に新潟市内に架かる橋梁の構造諸元や形式、役割、利用実態などを調査する課題と、それを新たに架け替えることを想定してデザインを考え、図面や模型で表現する課題に取り組みます。
信濃川の河口部両岸に中心市街地が広がる新潟市では、道路交通において橋梁が重要な役割を担うとともに、萬代橋が新潟市のシンボルとなっているように、橋梁は都市景観の重要な要素でもあります。社会基盤工学のものづくりにおける「設計」は、技術的な問題解決に加え、地域の自然条件や社会・経済への考慮が求められます。まだ専門の主要科目を学ぶ前の段階ですが、内外のさまざまな橋梁の形式を自ら調べ、架橋予定地周辺の交通や地形、まちの歴史や文化を勘案しながら新しい橋のかたちを考え、この分野のものづくりを疑似体験します。
この科目はグループワークで演習を進めます。数名が協同・分担して調査と議論を重ねながら課題に取り組むことで、プログラムに所属した直後で交流を深める場にもなっています。最終回の成果発表会は、プレゼンテーション能力の向上を図るとともに、質疑応答や他グループの発表を聞くことで、学習効果を高める機会となっています。
社会基盤プロジェクト・マネージメント
3年次の2学期に開講されるこの科目は、社会基盤施設の計画、設計から施工計画、維持管理計画の立案にまでの一連の公共事業プロジェクトに、グループワークによる演習形式で取り組みます。社会基盤設計基礎との大きな相違は、大学入学後に身に付けた専門科目の知識を総合して取り組むことであり、2年次ではできなかった詳細な構造計算も行います。実務的な内容となるので、現場で施設の計画や建設、管理に携わる土木技術者による講義が並行して行なわれ、実際に適用されている最新の設計方法や専門技術を学んだうえで演習を進めます。
演習の流れは右図の通りで、最初の高速道路のルート計画では、建設費用と社会的な便益の費用比較に加え、経済的な評価に含まれないさまざまな効果も総合して事業化ルートを決定します。続いてルート上の橋の設計に入りますが、まず架橋予定地の地形や地質条件、予算等を考慮して橋脚の配置を決める概略設計を行った後、橋桁を含む上部工と、それを支える橋脚および基礎の詳細設計を行い、最新の設計基準に基づいて構造計算を行います。続いて設計した橋脚に関する施工計画の立案で、工事費用の見積もりまで行います。最後は橋梁の維持管理計画の立案です。戦後の高度経済成長期に建設された構造物の老朽化が問題となっている昨今、長期にわたって利用される施設の適切な管理は、この分野にとどまらず、社会的にも重要な課題となっています。
多くの大学では、計画や設計、施工に関する科目がそれぞれ用意されていることが一般的ですが、これを一連のプロジェクトと捉えて有機的に総合したことが大きな特長となっています。演習を進めていく中で、施工計画を考えていたら設計上の問題が見つかり、設計を修正したという事例もありました。