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2025年度 ものづくりプロジェクト製作作品

 2025年度の「ものづくりプロジェクト」は、工学部の特徴的な実践教育科目として、7プロジェクト、約160名の学生が参加し、活発な活動を展開しました。 参加者は工学部1年生から大学院生まで、少数ですが理学部や医学部など他学部の学生にも広がり、多様な専門分野や学年を超えた協働によるプロジェクト活動が行われました。 近年は複数年度にわたって継続履修する学生も増え、上級生が下級生を指導する体制が自然に形成されています。このような知識や技術の継承により、 各プロジェクトの技術力や組織運営能力は着実に向上しており、活動内容も年々高度化しています。
 今年度は、CANSATプロジェクトがハイブリッドロケット打上げに必要となる燃料注入や点火を遠隔操作する地上支援設備(GSE: Ground Support Equipment)を独自に開発し、 ロケット本体およびGSEの双方を自団体製作としたロケット打上げに成功するなど、大きな成果を収めました。 また、理科実験教材開発プロジェクトは各種理科イベントに積極的に参加し、地域への科学教育支援に貢献しました。 さらに、情報セキュリティプロジェクトは複数の競技会に出場し、優れた成績を収めるなど、各分野で高い成果を挙げました。
 教育面では、月例レポートの提出および月次報告会での発表を継続的に実施しました。また今年度からの新たな試みとして、各プロジェクトの発表を学生同士で相互評価し、 年間を通じて優れた発表を行ったプロジェクトを表彰する「MVP(Most Valuable Project)賞」を創設しました。 この制度により、技術的内容を分かりやすく伝える意識が高まり、プレゼンテーション能力の向上と発表内容の質的向上が見られました。
 2025年度も、充実した教育・研究活動を実施することができました。本ページでは、その一部を各プロジェクトの活動報告として紹介いたします。 今後も学生たちの挑戦と成長を支援し、より高い教育成果の創出に取り組んでまいります。


CANSATプロジェクト

   CANSATプロジェクトでは、ハイブリッドロケットおよび缶サット(Can Satellite)の開発を通じて、宇宙分野における実践的なものづくりに取り組みました。 普段の活動では、機体の設計・製作だけでなく、審査書に対応するための強度解析・実験・シミュレーション、システムの改良を継続的に行い、技術力の向上と開発体制の強化に努めました。 特に今年度は、ハイブリッドロケットの打ち上げに必要なGSE(Ground Support Equipment)の自作に注力し、安全かつ確実な運用を実現するための開発を進めました。
 GSEは、ハイブリッドロケットへの燃料充填や点火を遠隔で行うための地上支援設備であり、各種バルブや制御用電子機器によって構成されています。 昨年度から複数回にわたり燃焼実験を実施し、自作GSEの動作検証と改良を繰り返しました。実験の過程では燃料リークや不点火など機器のトラブルも発生しましたが、 その都度原因究明と改善を行い、システムの信頼性向上に取り組みました。こうした地道な活動を積み重ねた結果、本番で運用可能なGSEを完成させることができました。

 その成果を発揮する場として、2025年8月14日から22日にかけて秋田県能代市で開催された「第21回能代宇宙イベント」に参加しました。 能代宇宙イベントは、学生や社会人が参加する国内最大規模のアマチュア宇宙開発イベントであり、ロケット打ち上げや缶サットの自律制御ロボット競技が行われています。 本プロジェクトは、ハイブリッドロケット打ち上げ、および缶サット競技に3チームが参加しました。
 ハイブリッドロケット競技では、今年度初めて自作GSEを用いた打ち上げに挑戦しました。本番では燃料充填および点火を円滑に実施することができ、ロケットは高度200m以上まで到達しました。 最高到達点ではパラシュートが正常に開傘し、その後は安定して降下、機体の損傷なく回収することができました。 これにより、打ち上げで求められるすべてのミッションを達成し、自団体で製作したロケットとGSEによる初の打ち上げを成功させました。
 また、この成果が高く評価され、「タイプエス賞」および「インターステラテクノロジズ賞」の2つの企業賞を受賞しました。 自作GSEによる打ち上げ成功は、日頃から積み重ねてきた設計・製作・実験活動の成果が結実したものであり、学生たちにとって大きな達成感と自信につながる経験となりました。
 一方、缶サット競技においては、ランバック部門およびフライバック部門に参加しました。ランバック部門では、着地後に自律走行しながらゴール地点を目指しましたが、 競技フィールドに生育していた茎の硬い草が走行の妨げとなり、機体がスタックしてしまいました。これが主な原因となり、0mゴールを達成することができませんでした。 環境条件に対する機体の走破性や耐障害性能の重要性を再認識する結果となりました。今後は、スタックしにくい走行機構の開発に加え、 スタック発生時に自律的に脱出するための制御手法の検討を進めることが重要な課題となっています。
 また、フライバック部門では、飛行後の着地時に生じる衝撃によって機体の一部が損傷する結果となりました。フライバック機は限られた収納スペースに収める必要がある一方で、 飛行性能を確保するための軽量化も求められます。そのため、機体には軽量性と十分な強度という相反する要求を両立させる設計が必要となります。 今年度の経験から、構造設計や材料選定、衝撃吸収機構のさらなる改善が必要であることが明らかとなり、今後の機体開発に向けた貴重な知見を得ることができました。
 今後も後輩への技術継承を進めながら、さらなる技術力向上と新たな挑戦に取り組んでいきます。



■新潟大学CANTATプロジェクト(NiCs)ホームページ
■ARLISSのホームページ
■第20回能代宇宙イベントのホームページ





ロボコンプロジェクト

 ロボコンプロジェクトでは、NHK学生ロボコン2025への出場を目標に、ロボットの設計・製作・制御開発に取り組みました。 今年度の競技テーマは「バスケットボール」であり、ロボット同士が試合を行い、ドリブルやパスなどの基本動作を組み合わせながら得点を競うルールでした。 シュートの種類によって得点が異なり、通常シュートでは2点または3点、ダンクシュートでは7点が加算されるなど、高度な機構設計と正確な制御技術が求められる競技内容となっていました。
 ロボコンプロジェクトでは、昨年度から本大会出場に向けて機体開発を進めていましたが、2次ビデオ審査で不合格となり、残念ながら本選出場を果たすことはできませんでした。 振り返りの結果、定期的なミーティング体制が十分に確立されておらず、チーム全体での進捗状況の共有や課題の共有が不十分であったことが大きな要因として挙げられました。 その結果、試作機の製作に遅れが生じただけでなく、十分な性能評価や改良を行う時間を確保できず、最終的に開発スケジュール全体に大きな影響を与えることとなりました。  また、競技フィールドには高さ方向を含む大きな空間が必要であり、建屋内で十分なスペースを確保することが難しかったため、やむを得ず屋外にフィールドを製作しました。 しかし、天候や普段とは違う設営作業により想定以上の時間と労力を要し、ロボット本体の開発に割ける時間が減少したことも課題となりました。

 一方で、ロボコンプロジェクトでは、NHK学生ロボコンのみを目標とするのではなく、段階的な技術者育成を重視しています。 1年次前期にはSRCという初心者向けのロボコンへの参加、1年次後期には関東春ロボコンへの参加、2年次には東海ロボコンへの参加というステップを通じて、 機械設計、電子回路、制御技術などを実践的に学びながら技術力を高めています。今年度の関東春ロボコンでは優勝を果たすなど、次世代を担う学生たちが着実に成長しており、 継続的な人材育成の成果が現れています。

 今年度はNHK学生ロボコン本選出場という目標を達成することはできませんでしたが、開発体制やプロジェクト運営上の課題を明確にすることができました。 今後は定期的なミーティングによる進捗管理の徹底、早期の試作機製作と評価サイクルの構築、効率的なフィールド運用方法の検討などを進め、 次年度のNHK学生ロボコン出場を目指して活動を続けていきます。

■ロボコンチーム(科学技術研究部)ホームページ
■NHKロボコンホームページ
■YouTubeアーカイブ




学生フォーミュラプロジェクト

 学生フォーミュラプロジェクトでは、学生自らが企画・設計・製作を行うフォーミュラカーを用いて「全日本学生フォーミュラ大会」への出場を目標に活動を行いました。 今年度は、コーナー立ち上がり時の加速性能向上を目指し、車両の動力源を昨年度まで使用していた4気筒エンジンから、より低回転域で大きなトルクを発生できる2気筒エンジンへと変更しました。
 エンジン変更に伴い、エンジン制御システムも大幅な見直しが必要となりました。 特に点火タイミングや燃料噴射タイミングを適切に制御するため、新たなセンサの増設やセンサを取り付けるためのヘッドカバー加工など、多くの技術的課題に取り組みました。 しかし、新たなシステムの構築や制御調整には想定以上の時間を要し、エンジンを安定して動作させるための開発が難航しました。
 プロジェクトでは、2025年度大会への出場に向けて車両製作や静的審査書類の作成などを着実に進めていましたが、全体のスケジュール管理が十分ではなく、 車両開発の遅れを挽回することができませんでした。また、大会出場に必要なレベルまでエンジン制御の完成度を高めることができなかったため、 苦渋の決断として2025年度大会への出場を辞退しました。
 一方で、開発を継続した結果、2025年10月25日に新潟県魚沼市で開催された「ものづくりアイディア展 in 魚沼」に参加し、 2気筒エンジンを搭載した新車両として初めて走行デモンストレーションを実施することができ、多くの来場者から関心を集めました。 大会出場という目標は達成できなかったものの、イベント開催時にはエンジン制御も安定し、新たに採用した2気筒エンジン搭載車両の走行を実現することができました。 この経験は、次年度の大会出場に向けた大きな一歩となりました。

 今年度は大会出場辞退という悔しい結果となりましたが、新たなパワートレインへの挑戦を通じて多くの技術的知見を蓄積することができました。 今後は開発スケジュール管理の改善と車両完成度の向上を進めるとともに、今年度確立したエンジン制御技術をさらに発展させ、 次年度の全日本学生フォーミュラ大会出場を目指して活動を継続していきます。

■新潟大学 学生フォーミュラプロジェクトNEXTホームページ
■全日本学生フォーミュラ大会ホームページ



非産業用ロボットプロジェクト

 非産業用ロボットプロジェクトでは、災害現場を想定したレスキューロボットの開発を行い、ロボカップジャパンオープン レスキュー実機リーグへの出場を目標として活動しました。 昨年度出場した「ロボカップジャパンオープン2024 レスキュー実機リーグ」では、いくつかのタスクを達成することができなかったことから、 今年度は競技成績の向上に向けて機体の全面的な見直しを行い、新機体の設計・製作・制御開発に注力しました。
 機体設計では、特にマニピュレータの性能向上に重点を置きました。昨年度機体と比較してアーム全長を延長するとともに自由度を増やし、より複雑な作業に対応できる構造へと改良しました。 これにより、競技課題の一つであるドアの開閉タスクに対応できるよう、ドアノブの把持・回転からドアの開放、さらにドア通過までを実施可能な機構を目指して開発を進めました。
 走行系については、従来のタイミングチェーン方式からタイミングベルト方式へ変更しました。これによりクローラの接地面積を拡大し、グリップ性能を向上させることで、 急勾配の坂道走行や不整地での走破性能向上を図りました。災害現場を想定した競技では、段差や障害物など複雑な走行面への対応が求められるため、 安定した移動性能の実現を重要な開発目標として取り組みました。
 制御面では、オペレータが遠隔地からロボットを確実に操作できるよう、搭載カメラの配置や映像提示方法の改善を行いました。 これにより、ロボット周辺の状況や機体姿勢をより正確に把握できるようになり、遠隔操作時の作業性向上を図りました。 また、AI技術を活用した環境認識にも取り組み、競技で用いられるハズマット(危険物表示)の自動検出機能の実装を進めるなど、高度な自律支援技術の開発にも挑戦しました。

 今年度は主に新機体の開発と性能向上に重点を置いた1年となり、大会への出場は行いませんでしたが、昨年度の課題を踏まえた大幅な改良を実施することができました。 今後は開発した機体の評価試験と制御の高度化を進め、各種タスクの確実な達成を目指すとともに、2026年度のロボカップジャパンオープンへの出場に向けて活動を継続していきます。

■非産業用(レスキュー)ロボットプロジェクトホームページ
■RoboCupJapanホームページ




音響工学プロジェクト

 音響工学プロジェクトでは、「音を使って社会に貢献・面白いことをする」ことを目標に、音響信号処理技術を活用した各種システム開発に取り組みました。 今年度は、音のスペクトログラム上で自由に音を加工することができる「音加工班」と、声を利用して楽器を演奏できるシステムの開発を行う「電子楽器班」の2つのグループに分かれ、 それぞれのテーマに沿って活動を行いました。
 音加工班では、音のスペクトログラム上に直接線などを描画することで独創的な音を生成できるシステムの開発を進めました。 今年度は将来的なWeb公開を見据え、機能の充実と利便性の向上に取り組みました。具体的には、アプリケーション上で周波数軸を表示できるようにすることで編集作業の視認性を向上させたほか、 MP3ファイルの読み込み機能を実装し、より多様な音源を扱えるようにしました。 また、従来の自由描画だけでなく、あらかじめ用意した楽器音をスペクトログラム上に挿入できる「楽器スタンプ」機能を開発しました。 さらに、画像データをスペクトログラムへ直接挿入する機能の実装にも取り組み、視覚情報から音を生成する新たな表現手法を実現しました。 これらの機能拡張により、従来以上に創造性に富んだ音作りが可能となりました。
 一方、電子楽器班では、声を使って楽器を演奏できる電子楽器システムの開発を進めました。演奏のハードルを下げ、誰でも気軽に音楽表現を楽しめるシステムの実現を目指し、 音声信号処理技術の高度化に取り組みました。特に、演奏性向上のためのピッチ検出性能の改善を行い、より正確に音程を認識できるようアルゴリズムの改良を進めました。 また、出力される音の切り替わりが不自然にならないよう、音のつなぎ目を滑らかにする各種信号処理の検討・実装を行いました。
 さらに、将来的なハードウェア化を見据え、組込みシステムでの実装にも取り組みました。マイクロコントローラであるdsPIC上で動作させるための開発環境を整備し、 一部の信号処理機能の実装・動作確認を行いました。これにより、ソフトウェア上での開発にとどまらず、実際の電子楽器としての実用化に向けた基盤を構築することができました。



情報セキュリティプロジェクト

 情報セキュリティプロジェクトは、情報セキュリティに関する知識・技術の習得と、各種セキュリティ競技会における上位入賞を目標として活動しているプロジェクトです。 日頃の活動では、メンバー同士で情報セキュリティに関する勉強会を定期的に開催し、Webセキュリティ、暗号、フォレンジック、リバースエンジニアリング、 プログラミングなど幅広い分野について学習を行っています。 また、上級生が後輩へ技術指導を行うことで知識や経験の継承を進め、学年を超えて互いに切磋琢磨しながら技術力の向上に取り組んでいます。
 こうした継続的な学習活動の成果を発揮する場として、今年度は複数の全国規模のCTF(Capture The Flag)大会に出場しました。 CTFとは、情報セキュリティ技術を活用してシステム内に隠された「フラグ」と呼ばれる文字列を発見し、その数や難易度によって得点を競う競技です。 実践的なセキュリティ知識や問題解決能力が求められるため、情報セキュリティ分野における技術力を測る代表的な競技として広く知られています。
 7月に開催された「SECCON Beginners CTF 2025」では、全国から参加した880チームの中で64位という好成績を収めました。 大会では、勉強会を通じて培ってきた知識や技術を活かし、多様な問題に挑戦しました。 特に、メンバー同士で協力しながら問題を分析し解決することで、日頃の学習成果を十分に発揮することができました。
 さらに、その上位大会にあたる国内最大級のCTF競技会である「SECCON」にも出場しました。 大会には国内外の強豪チームや企業のセキュリティ専門家チームも参加しており、非常に高度な技術力が求められます。 そのような環境の中で、本プロジェクトは複数分野にわたって計6問の難問を正答し、817チーム中100位という優れた成績を収めました。 学生チームとして全国規模の大会で健闘し、これまで積み重ねてきた学習活動の成果を示すことができました。


理科実験教材開発プロジェクト

 小中学生を対象に、理科のおもしろさを伝えることを目的として「簡単」「安価」「あっと驚く」をコンセプトに理科実験教室の開催や実験キットの開発に取り組んでいるプロジェクトです。 昨年度はメンバーが少なかったため、理科実験教室を開催できず、悔しさの残る一年となりました。 しかし今年度は、新たに2年生が2名、1年生が5名加わり、総勢9名の明るくにぎやかなプロジェクトへと成長し、活動にも一層活気が生まれました。 こうして体制が整った今年度は「色が変わる!シュワシュワサイエンス」「スライムが大変身!?スーパーボールを作ろう」「手作りカリンバで学ぶ音のひ・み・つ」の3つの教材を開発しました。 どの教材も、子どもたちに“あっと驚く体験”を届けるため、メンバーが試行錯誤を重ねながらつくり上げたものです。下記には、それぞれの教材について概要をご紹介します。
 また、開発した教材を活用し、今年度は3つの理科実験教室を開催することができました。イベントの様子は「2025年度 ニュース」に掲載されていますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。 どのイベントでも参加者から好評をいただき、理科に興味をもつきっかけになったり、実験のおもしろさを実感してもらえたりしました。
 そして、1年間の活動の集大成として臨んだ教育・学習成果発表会では、これらの理科実験教室を中心とした取り組みが高く評価され、見事「技術賞」を受賞しました。 メンバー一人ひとりの努力が実を結んだ結果であり、来年度のさらなる活躍にも期待が高まります。 教材に関する疑問やイベントの開催依頼がございましたら、理科実験教材開発プロジェクトHP からご連絡ください。

【2025年度教材一覧】

▶ 色が変わる!シュワシュワサイエンス
 子どもたちが化学の面白さを体験できるようにつくられた教材です。重曹とクエン酸を混ぜて乾燥させ、手作りの入浴剤をつくるところから実験が始まります。 入浴剤を水に入れると、シュワシュワと泡が出て二酸化炭素が発生します。この“はっきり目に見える変化”によって、子どもたちは化学反応が起きていることを自然と理解できます。 その後、水に溶けた入浴剤の液体に「指示薬」と呼ばれる色の変わる粉末を入れ、液体の性質によって色が変わる様子を観察します。 今回、バタフライピーや紫いもなど、身近で安全な素材をいくつか比較したところ、紫キャベツの粉が最も色の変化がはっきりしていることがわかりました。 紫キャベツに含まれるアントシアニンという成分は、酸性や中性、塩基性といった環境の違いで色が変化しやすいためです。 こうした実験を通して、難しく感じられがちな化学のしくみを、子どもたちが「自分の手でつくり、自分の目で見て理解する」ことができるよう工夫されています。 また、イラスト付きの資料も用意し、反応のイメージがつかみやすいように配慮されています。

▶ スライムが大変身!?スーパーボールを作ろう
 子どもたちが身近な材料を使いながら“やわらかいスライムがどうして弾むボールに変わるのか”という科学の仕組みを体験的に学べる教材です。 実験では、まず液体のりとホウ砂、水を混ぜてスライムをつくります。普段はぷにぷにと柔らかいスライムですが、ここに“塩”を加えると不思議な変化が起こります。 塩の力でスライムの中の水分が抜けていき、次第に固まりやすくなっていきます。この状態になったスライムを手で丸めると、まるでゴムのように弾むスーパーボールが出来上がります。 スライムの中では、ホウ砂によって「網目状のつながり(架橋構造)」ができていますが、そこにある水が塩によって抜けることで、網目の間隔がぎゅっと詰まり、分子同士がよりしっかりとつながります。 その結果、伸び縮みしやすい構造になり、ボールのように跳ね返る性質を持ちます。 この教材では、ただ工作を楽しむだけでなく、“柔らかいものが硬くなるのはなぜ?” “弾むってどういうこと?”といった疑問を、自分の手で触れながら実感できるよう工夫されています。 身の回りの材料だけでスライムがまったく違う性質に変化する様子は、子どもたちにとって大きな驚きとなり、科学への興味につながる内容となっています。

▶ 手作りカリンバで学ぶ音のひ・み・つ
 楽器づくりを通して音のしくみを体験的に学べる教材です。カリンバとは、細長い鍵盤を指ではじいて音を出すアフリカ生まれの楽器で、今回は木のスティックを鍵盤として使い、 子どもたち自身がつくれる形にアレンジしています。この教材ではまず、音がどのように伝わるのかを“見える形”で示します。フライパンにピンと張ったポリ袋の上に塩をまき、 そこへカリンバの音を当てると、塩が細かく揺れ動きます。これは、音が空気の振動として伝わり、その振動が塩に届いて動かしているためで、子どもたちにとって大きな驚きとなります。 さらに、鍵盤となる木のスティックの長さを変えると、音の高さが変わります。長いほど低く、短いほど高い音になることを、実際に自分で鳴らして確かめられます。 こうした体験を通して、音の高さが“ものの振動の速さ”と関係していることを自然と理解できるようになっています。また、音をより大きく聞こえるようにするため、段ボールで共鳴箱もつくりました。 さらに、使用する木のスティックにばらつきがないかどうかも調べられ、音の高さに大きな影響がない範囲に収まっていることも確かめられています。 こうした工夫により、イベントなどでも多くの子どもたちが簡単に体験できる教材となっています。

■理科実験教材開発プロジェクトホームページ