センター長挨拶
アフターコロナ時代を切り開く工学力
工学力教育センターでは,工学力=「学ぶ力」+「つくる力」を合言葉に,『ドミトリー型教育』と呼ばれる3つの教育プログラム, ものづくりプロジェクト,スマートドミトリー,Global Dormitory Education(G-DORM)を開講しています.これらの科目では, 学生寮に先輩,後輩学生が集うように学年と専門分野の枠を越えたチームを結成して研究活動を行うことできます. また,それぞれのプログラムには,持続可能な開発目標(SDGs)を掲げた様々な研究プロジェクトがあり, 学生達は,センター所属の教職員や協力教員の支援のもとでコンテストや世の中に役立つ機械の発明を目指したり, 学部1年生から研究活動を体験することができます.工学部の創造工房や,センター内の工房内の工作機械やCAD用のワークステーションなど, 設計と加工のための充実した機器を使用することができます.工学力教育センターでは,様々な学びの場を与えることで, 理工系人材に必要な工学力とともに協調性やリーダーシップ能力を育成することを目標としています. さらに, G-DORMでは,海外の大学と地域企業と連携した国際グループワークインターンシップを通じて, 専門分野だけでなく,文化に融合する工学技術の理解とアントレプレナー教育を実践しています.
2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大から約3年が経過しました.この3年間のコロナ禍で私たちが得たもの,失ったものは多くあります. しかしながら,工学力教育センターでは,前 山内センター長,ならびにセンター所属の教職員の下でDX(デジタルトランスフォーメーション) を活用したオンラインミーティング室や遠隔操作によるものづくり環境の整備をはじめ,コロナ基準に応じたプログラム運営など, 工学力教育の継続に取り組んで参りました.プロジェクトに参加している学生達も,DX環境をチーム内での知識の共有,後輩学生の教育などに積極的に活用した取り組みを始めました. 2022年度は,これまで中止されていたコンテストやが開催されるようになり,ものづくりプロジェクトの学生チームが大きな成果を上げています. たとえば,CanSatチームは種子島ロケットコンテストで優勝,ロボコンチームは,NHK学生ロボコンで2年連続決勝トーナメント進出,および特別賞, 学生フォーミュラチームは,全日本学生フォーミュラ大会で自動車工業技術会会長賞を受賞しています. スマート・ドミトリーの学生達もICTビジネスアイデコンテスト2022 in 新潟で優秀賞,奨励賞を受賞, 「下水汚泥灰からリンを回収する資源循環技術の開発班」の活動が新潟日報で紹介されたり,多くの成果を上げています. また,G-DORMでは,新潟大学とメコン地域(カンボジア,ラオス,タイ,ベトナム)の大学とのオンライン型プログラム(Collaborative Online International Learning)が実施されるなど, オンラインツールを活用した新たな取り組みが実施されました.
日本国内では2023年3月よりマスク着用が個人の判断に委ねられるようになり,大学では,ほぼすべての授業が対面で行われています. 制限の多かったコロナ社会もわずかながら終わりのようなものが見えていると思います.進化するDX,変わり続ける社会と共に新たな取り組みが生まれることを期待します. 今後もSDGsを取り入れた工学教育プログラムの拡充,国際交流の促進など,社会の流れに柔軟しながら学生達が,率先して研究に取り組めるように全力で支援して参ります.
佐々木 朋裕(機械システム工学プログラム)