ものづくり教育背景画像 ものづくり教育背景画像

Fabricationものづくり教育 Fabricationものづくり教育

2016年度 ものづくりプロジェクト製作作品

 今年度のものづくりプロジェクトは、「ロボコンプロジェクト」、「学生フォーミュラプロジェクト」、 「レスキューロボットプロジェクト」、「理想の音響機器開発プロジェクト」、「can-sat(小型人工衛星)プロジェクト」、 「アプリ開発プロジェクト」、「筋電義手製作プロジェクト」の7チームで活動を行ない、約70名の学生が受講しました。
 前年度から引き続き活動しているグループも多くなり、技術的なレベルもプロジェクト全体で向上してきました。 ロボコンプロジェクト、学生フォーミュラプロジェクトでは全国大会に出場し、 レスキューロボットプロジェクト、 can-satプロジェクトでは2017年度の大会出場を狙っています。また理想の音響工学プロジェクトでは、 パテントコンテストでの優秀賞・特許出願など、 様々なプロジェクトが多方面で活躍しました。 以下に2016年度のプロジェクトを紹介します。

ロボコンプロジェクト

 ロボコンプロジェクトは、工学部の機械システム工学科・電気電子工学科・福祉人間工学科・情報工学科の学生から構成された プロジェクトで、 毎年7月に行なわれる「NHK学生ロボコン」優勝を目指して活動を続けています。今年度も全国の大学・高専が 応募した書類審査、1次ビデオ審査、 2次ビデオ審査を突破し、本選出場を果たしました。
 2016年7月10日に大田区総合体育館(東京都)で行われた本選には、全国の大学・高専の20チームが出場しました。 今年度の競技内容は、非接触のエネルギー(風力や磁力)を使って、ロボットを目的地まで移動させる「クリーンエネルギー」 というテーマでした。 移動する経路にはジグザグ道や直角カーブなど様々な障害があり、それをロボットが自律的にクリア しなければなりません。新潟大学はセンサの セッティングが本番会場と合わず、ジグザグ道で何度もリトライするなど 苦戦しました。そのため予選リーグ1勝1敗と、決勝トーナメントに進めず 悔しい思いをしました。 練習環境と本番環境の違いをいかに短時間で吸収するか、新たな課題が浮き彫りとなりました。
 次年度はまた新しい競技内容となりますが、同じ失敗を繰り返さないよう設計に工夫を加え、新しいロボットを鋭意試作中です。

■ロボコンチーム(科学技術研究部)ホームページ
■NHKロボコンホームページ


学生フォーミュラプロジェクト

 学生フォーミュラプロジェクトは、全日本学生フォーミュラ大会に出場し上位入賞することを目標としています。 機械システム工学科を中心に、電気電子工学科、情報工学科、化学システム工学科、機能材料工学科の学生、 およそ30名で活動しています。 今年度は車両製作の遅れから、事前の試走・テストが不十分な中での大会出場となりました。
 第14回全日本学生フォーミュラ大会は2016年9月6日~10日に静岡県エコパスタジアムで行われました。 エンジントラブルを かかえながらも車検・騒音試験などに合格し、動的審査まで進みました。しかしながら、実際のコースで 周回タイムを計る オートクロスという種目において規定のタイムに満たなかったため、次種目のエンデュランス(耐久走行試験) に出場することが できず、全種目完走という目標は達成できませんでした。
 今年度の反省から、次年度のマシンコンセプトを「信頼性」とし、各パーツの耐久性を向上させ長期にわたって安定して走行が できるよう、現在もプロジェクト活動を進めています。

■新潟大学 学生フォーミュラプロジェクトNEXTホームページ
■全日本学生フォーミュラ大会ホームページ


非産業用ロボットプロジェクト

 「レスキューロボットプロジェクト」は被災地などで活躍するレスキューロボットを製作するプロジェクトです。 東日本大震災が起きた 2011年以降、開発が活発に行われています。今年度は2017年度のレスキューロボット大会に 出場することを新たな目標とし、活動を続けてきました。
 昨年度の課題だったユーザーインターフェースを、WindowsのGUI環境で操作できるようにし、直観的な操作を可能にしました。 また次年度の大会出場を 見据えて、新たなセンサーの搭載、カメラでの広い視界の確保、電気システムの見直しや 通信プロトコルの見直しなども行いました。また機体の再設計にも 着手しました。大会に出場し良い成績を収められるように、 軽さと強度の両立、走破性の向上を目指して改良中です。

■レスキューロボットプロジェクトホームページ

理想の音響機器開発プロジェクト

 「音響機器開発プロジェクト」は使いやすい音響機器を開発するプロジェクトです。その中でも今年は補聴器に注目しました。 現在日本は高齢化率が25%を超え、超高齢社会に突入しました。加齢による難聴の人も多く、これからますます補聴器の需要が 増えてくることが予想されます。従来の補聴器は、耳に内蔵するタイプが多く、そのために製品はなるべく小さく作られることが ほとんどです。 このため、補聴器自体を失くしたり電池交換が難しいなど様々な問題がありました。
 このプロジェクトはこれら補聴器の問題を様々なアプローチで解決することを目標としています。この取組みの過程で、 特に補聴器の電源を切り忘れる という問題に着目し、「補聴器の電源切り忘れ防止と切る動作補助、及び破損を防止する器具」 を発明し、2016年度パテントコンテストにおいて優秀賞 に選ばれました。今後、考案された器具は特許出願支援の対象となり、 特許化を目指すこととなります。
 この器具以外にも補聴器にまつわる様々な問題解決のアプローチを取っており、DSPを用いたリアルタイム音声処理を学習し 補聴器自体を作り変える 試みも行っています。今後の進捗が楽しみなプロジェクトです。

can-sat(小型人工衛星)プロジェクト

  「can-sat(小型人工衛星)プロジェクト」は小型の人工衛星を製作し、毎年8月に開催される「能代宇宙イベント」の ランバック部門に参加することを 目標としています。ランバック部門とは、気球やロケットで打ち上げられたcan-satが パラシュート等で地上に降り立ち、GPS信号などを頼りに、自動で 指定のポイントに到達するまでの時間を競います。
 今年度は機体を製作し、GPS信号を用いてある地点まで自動走行する実験までを行いました。迷いながらも確実に指定の場所に 近づく姿は可愛らしくもあります。 指定の場所に到達することは確認できましたが、草むらや轍で身動きがとれなくなるなど 様々な問題があることも分かりました。次年度はより走破性を高めた 新たな機体を設計・製作し、2017年度の大会出場を目指します。

アプリ開発プロジェクト

 アプリ開発プロジェクトは、スマートフォン向けの便利なアプリを製作するプロジェクトです。 初年度の今年は2名の学生が活動しており、 それぞれに「くじ引きアプリ」「聖地巡礼(映画・アニメなどの舞台をめぐる) アプリ」を開発しました。
 Androidの基本や開発環境の使い方などを学んだあと、それぞれのアプリについて、画面の設計・機能のプログラミングを 行いました。 データベースや、カメラ・GPSなどのデバイスなどを使用しながら、使いやすいアプリを目指しました。 今後はアプリをより高機能とするため サーバサイドの学習も進める予定です。  

筋電義手製作プロジェクト

 筋電義手は実用化はされたものの、重い・高価などの理由から普及していません。「筋電義手プロジェクト」は 筋電義手をより安価で使いやすくする目的で 始まりました。初年度の今年は、CADの操作方法や筋電義手の基本的な 仕組みについて学習しました。「手」のサイズにアクチュエータ・制御装置・電源等を コンパクトにまとめるのが難しく、 次年度以降の設計課題となっています。