新潟大学工学部福祉人間工学科

TOP > ショートツアー:目玉の授業

目玉の授業

福祉情報技術入門

福祉情報技術入門

パソコンは高齢者や障害者の自立を支援するものとしても期待されています.しかし,高齢者や障害者がパソコン技術を習得するには様々な困難が立ちはだかっています.また,パソコン技術を指導できるインストラクターの数も不足しています.このような,高齢者や障害者がパソコンや補助機材を利用して自立できるように指導・支援するためのインストラクターの資格が「福祉情報技術コーディネーター」です.福祉情報技術入門と福祉情報技術実習では,福祉情報技術コーディネーター認定試験の2級レベルの合格を目指します.

人間工学

人間工学

私達の身のまわりには様々な道具や機械が溢れ返っています.これらは私達の生活を便利にしてくれるものです.これまで工学では,道具や機械自身の性能や効率の向上に重点を置いてきました.しかし,使う人のことを無視した機械では,私達の思い通りに動いてくれないため,私達が機械に合わせるハメになってしまいます.それによって肉体的,精神的苦痛を感じてしまうこともあります.人間工学では,人間の形態,心理,生理的特性について考慮し,人間と環境・機械を一体にして捉えることで,快適,安全,かつ効率的に仕事や生活ができるような,機械や人工的な環境の設計・制御方法を学びます.

メカトロニクス設計・製作

講義などで学習した内容をよりよく理解しさらに創造性を養うためには,体験学習が重要です.本授業では,少人数単位のグループ自主学習を基本とし、いくつかのシステムを設計・製作することで,講義内容の理解を深めます.また,他人とのコミュニケーション能力の訓練も行います.具体的には,1)折りたたみ可能な家具の設計・製作(製作例1,2,3),2)組込用マイクロコンピュータによる文字表示・音階合成システムの設計・製作(製作例4),3)トレース型ロボットの設計・製作(製作例5,6,7,8) の3つです。

製作例1
製作例1
製作例2
製作例2
製作例3
製作例3
画像をクリックすると動画がご覧いただけます。(制作例4〜8)

ボランティア実習

福祉人間工学科は、人間・医療・福祉のリテラシーをもつ電子・情報・制御系の指導的なエンジニアを育成する学科です。福祉リテラシー教育の第1段がこのボランティア実習で、入学するとすぐに受講します。実習の準備として、まず「ボランティア活動とは何か?」についてグループごとに議論し、その結果を口頭発表してもらいます。続いて新潟市ボランティアセンター所長からお話しをうかがい、ボランティア活動への理解を深めます(図1)。

新潟市ボランティアセンター所長のお話し
図1 新潟市ボランティアセンター所長のお話し

この科目の目的は、高齢者や障がい者などの心身機能が低下した人とその生活支援に対する理解を深めることにより、本当に必要とされている医用機器、支援機器を開発するために必要な考え方を身に付けることにあります。そのためにまず、障がいをもつ方から直接、障がいおよび障がい者の生活・就労についてお話しをうかがい(図1)、その後、ボランティアセンター職員の指導の下、障がい者の支援・介助法について実習を行います(図2)。このような実習を運動障がい、視覚障がい、聴覚障がい、「老化と高齢者介護」、ALS(筋萎縮性側索硬化症)について行います。

図2 車イス使用者のお話し
図2 車イス使用者のお話し
図3 車イス介助の体験実習
図3 車イス介助の体験実習

上記の実習の後、実際に福祉施設に行って、さまざま障がいをもつ人たちを支援するボランティア活動を行います。その体験を通じて、障がい者の生活や福祉現場についての知識・理解を広げ、かつ深めることができます。
最後は、運動機能障がい者がコンピュータを操作するためにつかうスイッチの設計・製作実習を行い、体験的に「障がい者ニーズに即した支援機器づくり」を学びます。具体的には、少人数グループごとに独自のスイッチを考案・設計し、与えられた材料で製作してもらいます(図4)。次に試作したスイッチでコンピュータを操作し、その性能や操作性を評価します(図5)。最後は成果を報告書にまとめるだけでなく、プレゼンテーション用OHPを作成し、グループごとに成果を口頭発表します(図6)。発表後には質疑討論も行い、さらに日本ALS協会新潟県支部の方から講評してもらいます。毎年、ユニークなスイッチが考案されるため、質疑討論は白熱します。

図4 試作した操作スイッチ
図4 試作した操作スイッチ
図5 操作スイッチを使ったコンピュータ操作
図5 操作スイッチを使ったコンピュータ操作
図6 OHPを使った成果発表会
図6 OHPを使った成果発表会