瀧本・石塚研究室に進学を希望する方へ

 私たちの研究室は、固体物性と呼ばれる物理学の一分野を研究するグループに属しており、この分野に理論的にアプローチする研究を行っています。 学内外(海外も含む)の物性実験から得られる興味深いデータの振る舞いを理論的に説明し、予想される新しい物性を提案するための理論を構築することが研究の目的です。 いわば、物性の謎解き・宝探しをしているわけです。
 ここでは、当研究室でどのようなことを学び、どのような研究を行っているのか簡単に紹介します。

学部4年次の概要

 学部4年次に研究室配属が決まると、まず固体物理学を研究する上での基礎知識を身に付けます。前期のゼミで固体物理学の教科書の輪講を行います。

  教科書:「基礎の固体物理学」, 斯波弘行

 また、英文読解の技能を習得するため英語の教科書の輪講を行います。3年次までの物理の復習も兼ねています。

  教科書:「Introduction to Quantum Mechanics」, David J. Griffiths

 後期では、量子多体論や超伝導、磁性理論の基礎を習得するとともに、指導教員と共に入門的な研究活動を行います。 研究の成果を卒業論文にまとめて、卒論発表会で発表します。卒業研究に必要な数値計算の指導も行います。

  教科書の例:
  「Many-body Quantum Theory In Condensed Matter Physics: An Introduction」, H. Bruus and K. Flensberg
  「固体の電子論」, 斯波弘行
  「磁性入門」, 上田和夫

  卒業研究の例:
  「カゴメ格子ハバード模型における動的感受率」
  「UTe2に対する簡略化された模型による三重項超伝導」

 基本的に夏までは、ゼミ以外の就職活動や大学院入試のための勉強は各自でやってもらい、後期から実際にテーマを決めてやってもらいます。 進路については、瀧本・石塚研の修士課程に進学してほしいと思っていますが、他大学や他研究室に進学希望の方、就職希望の方ももちろん歓迎します。


修士課程の概要

 修士1年では物性研究における場の理論の方法を学ぶため、まず初めに教科書を輪読します。

  教科書の例:
  「Quantum Theory of Many-Particle Systems」, A.L. Fetter and J.D. Walecka
  「物性物理のための場の理論・グリーン関数」, 小形正男

 この勉強と並行して、興味のあるトピックの中から、修士論文の研究テーマを選びます。 指導教員と協力しながら学生主体で研究を進めます。

 理論研究は実験とは異なり、特別な装置や道具は必要ありません。 そのため、自分の力で研究をやった、という充実感が得られるはずです。 逆にいえば、良い研究ができるかどうかは、その人自身の能力にかかっています。 新しい理論や現象を見つけるのは簡単ではないですし、根気も必要です。 研究はいつもうまくいくとは限らず、間違えては悩むことの繰り返しです。 そんな時のために、研究室という環境があります。 学ぼうとする意欲があればそれに応えてくれる教員、質問に答えてくれる先輩の大学院生、気軽に議論できる同期生など、研究室は研究活動に専念できる環境が整っています。

 研究がまとまったら、研究会や日本物理学会で研究発表を行います。

  修士論文の例:
  「URu2Si2の隠れた秩序相内における低エネルギー励起の研究」
  「パイロクロア格子電子系のAll-In-All-Outスピン秩序状態における集団励起」


博士課程の概要

 博士課程では国際会議での研究発表や論文執筆の機会が増え、指導教員や学内外の共同研究者と協力して自身の研究領域をさらに深く開拓します。

  博士論文の例:
  「多軌道強相関電子系における新奇物性の理論的探索」

就職先

 材料・電子部品メーカー、ソフトウェア開発メーカー、半導体メーカーなど