信号処理の概要
音や光などの物理量を加工・圧縮・解析・推定する技術です。
本研究室では特に,画像信号に代表される多次元信号の理論と応用,アルゴリズム開発,システム実装に関して研究を行っています。
スパースモデリングと信号復元
画像を要素画像の重ね合わせでスパース(疎)に表現します。
2000年代以降,このスパースモデリングの考え方が目覚ましい発展を遂げました。間接的なセンシングデータからの計算による標本列生成の性能が向上し,CTやMRI,超音波撮像機器などで標本点の削減や装置の小型化など具体的な成果ももたらされています。
スパースモデリングは,ノイズ除去,ボケ除去,画像修復,超解像など画像復元においても高い性能を与えます。特に,信号の特徴を捉えるフィルタ群を併用する例が多く,離散ウェーブレット変換から派生した指向性変換や冗長変換,事例に基づく学習辞書などフィルタ群の設計や実現にも高い関心が寄せられています。
2010年代,人工知能分野に大きな展開がもたらされました。深層ニューラルネットワーク(DNN)によるパターン識別性能の飛躍的な向上です。この成功の背景には,従来のニューラルネットワークからの構造と設計の改善があります。特に画像を対象としたDNNでは,畳込み構造,すなわち画像フィルタを導入した畳込みニューラルネットワーク(CNN)が効果的に利用されています。
本研究室でも,多次元信号の復元や認識に利用できるフィルタ群の設計法や実装法の研究を行っています。
主な研究プロジェクト
多次元信号の分析・合成に関する汎用的な知識・技術を核として数理的アプローチを重視し応用研究プロジェクトに貢献しています。
- 多次元信号の分析・合成
- 動的システムモデリングのための局所構造化ユニタリネットワークと接空間学習(代表:村松正吾、科研費基盤研究(A))
- 高次元信号復元のための構造化畳み込みネットワーク(代表:村松正吾、科研費基盤研究(B))
- 多次元信号復元のための事例に基づく非分離冗長重複変換の設計と実現(代表:村松正吾、科研費基盤研究(C))
- 高機能画像表現のための傾斜平面分離性能を有する二次元直交変換の設計と実時間実現(代表:村松正吾、科研費基盤研究(C))
- 多機能映像符号化システムのためのフィールドスケーラビリティに関する基礎研究(代表:石田拓麿、科研費特別研究員奨励費)
- 防災観測
- データ駆動による河道網水位の一体制御への挑戦:有向グラフ構造上の動力学モデリング (代表:村松正吾、科研費挑戦的研究(開拓))
- 流路健全性の保全・回復を目的とするデータ駆動型の河道能動制御法(代表:村松正吾、科研費挑戦的研究(萌芽))
- 洪水時の観測ビッグデータに基づく自然由来河道の安定機構の解明と河道設計指標の特定 (代表:安田浩保 、科研費基盤的研究(A))
- 自然法則に基づく安定性河道とデータ駆動型の河道の予知保全法による河川の多重性向上(代表:安田浩保 、科研費基盤的研究(A))
- Xバンドレーダとデータ駆動の融合による高分解能かつ多元的な洪水モニタリングの創出(代表:安田浩保 、科研費挑戦的研究(開拓))
- Deep Learningでつなぐ理学・工学・防災学融合研究と そのための共用プラットフォームの構築(代表:早坂圭司、新潟大学U-goグラント)
- 生命科学
- AI技術を用いた膜透過性アプタマーの機能最適化と網羅的薬効評価法の確立
(代表:中馬吉郎、科研費基盤研究(B)) - 生体内3次元構造全体のナノ振動計測を指向した光断層撮像システムの開発(代表:崔森悦、科研費基盤研究(B))
- 周波数可変広帯域光コムを用いた生体3 次元断層振動撮像装置の開発(代表:崔森悦、科研費基盤研究(B))
- AI技術を用いた膜透過性アプタマーの機能最適化と網羅的薬効評価法の確立
- 計測技術
- 光変形する微小液滴の動的ネットワーク化による学習型・局所振動センシング技術の創生(代表:大平泰生、科研費基盤研究(B))
- クロスネットワークを基軸とした地域間データ共有機能を有する金属加工形状検証システムの研究開発(代表:鈴木孝昌、SCOPE地域ICT振興)
- 超音波駆動波長操作光源とウェーブレット変換処理を用いた実時間フルフィールドOCT(代表:鈴木孝昌、科研費基盤研究(C))
- 生活支援
- ライフサポートシステム実現のための高分解能ミリ波MIMOイメージングアレー(代表:山田寛喜、科研費基盤研究(B))
- ミリ波モーションセンシングMIMOレーダによる人物の動きの検出・同定に関する研究(代表:山田寛喜、科研費基盤研究(B))
- 伝統工芸
- 伝統的工芸品の世界販売戦略を支援するためのバーチャルショウケースの研究開発(代表:阿部淑人、SCOPE地域ICT振興)