活動報告

学内の異分野の研究者が活発な意見交換(今年度3回目のBDA研究会)

真の文理融合を目指し、具体的社会課題を議論することにより、学内外の連携体制構築を図ることを目的として、
BDA研究センター主催で、BDA研究会を開催しました。(今年度の第3回目になります。)

【第25回BDA研究会】

日時:2021年8月6日(木) 16:25~18:00
参加人数:31名
発表タイトル:

「デジタル社会の新個人情報保護法制(令和3年改正法)

 ー公民一元化後の大学・病院のデータ利活用の基本的考え方」

発表者:

新潟大学 法学部 鈴木 正朝 教授

【発表】

(以下は、開催案内に記載した内容です。)

 令和3年個人情報保護法改正により、民間部門と公的部門(行政機関のほか独法等や自治体を含む)の取扱いルールが一つの法典に統一され、また権限も自治体首長や総務省(行政管理局)などから個人情報保護委員会に一元化された。  

 従来の国立大学と公立大学及び私立大学、同様に国立大学等独法等の病院と公立病院、私立病院の個人情報の取扱いルールのばらつきが、改正法施行後は、規律移行法人として概ね民間部門のルールに寄ったかたちで統一される。

 施行日までの約2年間は国公立大学の学内規程や病院の個人情報関連のルールは(厚労省等の指針含めて)大きな見直しを迫られる。

 移行期の苦労は相当なものがあるが、その後は、ルールの国内統一が図られ、 AI等の研究の前提となるデータの収集と分析のあり方や産学連携含めて利活用の基盤が整備される。

 日米欧Data Free Flow with Trust政策など個人データのルールの日米欧各国間のハーモナイゼーションの推進と各国間の法執行協力体制の構築にさらに注力し、GAFA等のプラットファーマー規制の足がかりもできる。

 同時に米中対立を踏まえた安全保障上のルールも今後整備され、情報流通にその面からの一定の制約も新たに設けられるように思う。

 3.11以降10年来の我々の2000個問題解消の主張がようやく通り、立法に至ったわけであるが、このあたりの経緯と現状と今後のあり方についてその概要をお話ししたい。

【討論】

  その後の討論では、なぜ日本は EU 等とは違って、個人情報に関する罰金が低いのかという質問が出て、そもそも日本の法律全般において欧米に比して罰金が低く、その中でのバランスがあるという回答がありました。また、なぜ 2000 個問題が生じたのかという質問に対して、日本では、国が立法に着手しなかったため地方自治体が取り組み育んできたという経緯があるからだとの回答がありました。

メンバー

  • 法学部 鈴木正朝 教授