社会基盤工学
プログラム

暮らしを支える「まちづくり」安全で持続可能な社会を支える知識と技術を学ぶ

 信濃川大河津分水記念碑に刻まれた「万象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ 人類ノ為メ 国ノ為メ」を理念として、人々の安全・快適で持続的な暮らしを支える社会基盤施設を計画、設計、維持管理するために必要な基礎的な知識と技術を修得することにより、自然環境との調和や人類の幸福を追求し、実践できる人材を育成します。

プログラムの特色

 本プログラムが対象となる社会基盤、都市環境は、自然との調和や環境全体への適合が重要視されます。工学的な知識だけでなく、倫理的思考、社会的関心など幅広い教養が要求されます。
 具体的には、道路や鉄道、橋やトンネル、堤防やダム、堰や放水路、港・空港、上下水道、公園など、私たちの安全かつ快適な「暮らし」を支える社会基盤施設およびそのネットワークの計画・調査・設計・建設・維持管理、および国や地域、都道府県や市町村における「まちづくり」や「地域づくり」に関する専門知識や技術を学びます。

教育プログラム

●2年次
 社会基盤工学(土木工学)の主要分野である応用力学・コンクリート工学・水理学・地盤工学に関する必修科目が開講され、これらの科目を通して専門分野の基礎知識を修得します。また、設計や製図、測量に関する技術の基礎を学びます。社会基盤設計基礎は、特徴的な科目のひとつであり、都市整備や構造物の計画・設計の基礎プロセスを学び、グループワークにより、それを疑似体験します。

●3年次
 上述の主要分野に対応した実験科目が開講されています。実験科目を通し、それまでに学んだ学問分野をより深く理解すると共に、計測技術を身につけ、結果を分析・考察する能力を養います。
 また、実践的な計画・設計演習科目として、社会基盤プロジェクト・マネージメントが設けられており、社会基盤施設の計画から設計、施工、維持管理までの一連の流れとその内容について、講義とグループによる演習形式で学びます。さらに、官公庁や企業のインターンシップに参加して、学問分野と実務との関連について理解を深め、より具体的な課題への取り組み方について学びます。

●4年次
 4年次には研究室に配属されて研究活動を行います。卒業研究を通して、専門的な問題を理解・整理し、調査や分析などに基づき解決して行くための能力を身に付けます。また、自分の考えを人に正しく伝え、相手の意見を理解する能力や、プレゼンテーション技術などについても養います。
 研究室活動の他、技術英語Ⅰ・Ⅱ、技術者倫理の授業が開講されます。国際的なコミュニケーション能力を身に付けるとともに、技術者倫理について考え、社会で活躍する技術者を養成します。

社会基盤工学プログラムは、「社会基盤工学プログラム日本技術者教育認定機構認定プログラム」として、日本技術者教育認定機構(JABEE)より認定を受けています。

授業紹介

社会基盤設計基礎、社会基盤プロジェクト・マネージメント

(1)社会基盤設計基礎
 これから専門科目を本格的に学ぼうとしている2年次第1学期に開講されている科目です。5人程度のグループで、新潟市中心部の交通計画と橋梁のデザインの2つのテーマに取り組みます。グループ毎に、都市交通のあり方を議論したり、世界の色々な橋を参考に橋梁の模型を制作したりします。

(2)社会基盤プロジェクト・マネージメント
 様々な専門科目を既に学んだ3年次第2学期には、社会基盤プロジェクト・マネージメントという科目が開講されています。それまでに習得した専門知識を駆使して、高速道路の計画や橋梁の設計・施工・維持管理などの一連のテーマについて、実務者から指導をいただきながら本格的に取り組みます。

橋梁の模型作成作業中
橋梁上面のデザイン
橋梁デザインのデッサン
橋梁の模型作成のための意見交換

社会基盤設計基礎

 社会基盤工学分野における計画・設計の対象は、構造物から都市整備まで多岐に亘ります。本科目では、それらの基本プロセスを疑似体験すること、特に専門課程の初期段階であることから、関連技術や専門分野のアウトラインを把握し、計画・設計の基礎知識を身に付けることを主眼に置いています。1グループ4〜5人の複数グループに分かれて協力しながら、現場調査から計画立案、設計といった課題に取り組んでいます。この授業を通じて、多面的な立場から授業に参加することで、今後の応用段階の発展に繋がります。

プログラムの
先端研究

気候変動後を見据えた沿岸災害・海浜変形の数値計算や人工知能を用いた高精度波浪予測

中村 亮太准教授

 海岸工学は、海岸線から沖合数キロメートルまでの波浪の特性やそれにともなう海岸過程を対象とした学問です。近年では世界各地で沿岸域災害が多発しており(近年の事例:インドネシア・クラカタウ火山島の噴火による津波被害や大阪湾における高潮被害など)、その物理メカニズムや被害機構の解明が海岸工学の主要な課題となっています。さらに、気象学における地球温暖化後の極端な気象・海象、降雨の変化やUAV(ドローン)を用いた海岸の地形変化の高精度計測に関する研究が活発に行われています。新潟大学海岸工学研究室では、(1)津波・高潮・高波の機構の解明や温暖化影響評価、(2)海浜変形の現地調査と数値計算、(3)人工知能の海岸工学への応用、(4)海岸工学に関する水理実験を基本として、沿岸域における未来の持続可能な発展に貢献する海岸工学の研究を行っています。それらの研究では、現地調査、数値計算、水理実験などの研究テーマに適した手法を用います。

図1 2018年インドネシア海峡津波をもたらしたクラカタウ火山の陥没後の様子(左)と超高解像度高潮浸水数値計算結果(右)
図2 河口砂州におけるUAV(DJI社製)による地形測量の様子(左)と数値計算結果(右)
図3 人工知能の一種であるリカレントニューラルネットワークを用いた高精度波浪予測

ミクロからマクロへ 〜「ナノ」から視るコンクリート〜

 セメントは水と反応することで様々な化合物を生成し、硬化します。本研究室ではセメントの反応物である、カルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物の結晶構造や、それらが集合した凝集体構造に着目し、生成する水和物を“制御”することで、再生可能な新しいセメントの設計、セメント系新材料の開発、超高耐久コンクリートの設計およびコンクリートの劣化現象の解明を行っています。

AI置換されたC-S-H構造
モノサルフェートとその結晶構造モデル

取得できる
免許と資格

  • 教員免許
    高等学校教諭1種免許状(工業)
  • 資格
    測量士補(資格)
    技術士補(JABEE認定)

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