研究の目的、概要、期待される効果
近年のミリ波レーダの発展に伴い、自動車レーダ以外にも様々な分野への応用が期待されています。特にMIMOレーダ(複数送信・複数受信)により距離のみならず、空間的な位置の推定も可能となってきています。我々の研究室では、より高い空間分解能を実現するためのアンテナ構成および信号処理手法を開発し、少ない送受信素子数のまま、飛躍的に分解能を改善する技術を開発しています。
図1は市販の79GHz帯MIMOレーダを用いた屋内人物(3名)の位置検出および行動追跡結果の一例です。市販品では人物を分離する十分な分解能が得られていませんが、開発手法では、同じハードウェア規模で高い分解能が得られ、室内全域で正確なトラッキングが実現されています。
この周波数帯のレーダは免許不要で利用できるという利点があり、様々な用途への応用が可能です。近年では携帯電話に搭載し、ジェスチャによる操作も可能になっています。これは観測信号の機械学習により実現されています。レーダ観測では、対象物体の距離、時間、速度、さらには空間(角度)に関する情報が得られます(図2)。これらを利用し機械学習による物体識別・動作認識に関する研究にも取り組んでいます。


アピールポイント
カメラ等の光学センサの適用が難しいエリアでのモニタリングに適したセンシング手法です。特に動きを敏感に検出し、単なる物体検出のみならず機械学習による認識も可能です。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・見守りシステムやセキュリティ、マンロケーション管理など人の行動に関する応用分野
・ターゲットの識別や動作認識(マンマシンインターフェース)等の応用分野