研究の目的、概要、期待される効果
本研究では、図1にあるようならせん状の形態を持った反応装置を提案しました。らせん中心軸周りに回転させることで、固体を連続的に輸送でき、通気してガスと反応させるとともに、外部から加熱・冷却できるという特徴を持っています。この形式の気固接触装置は、従来から知られている流動層、移動層、回転炉(キルン)、移動火格子(ストーカ―)とは異なったもので、外部との熱交換をしながら、なおかつ多少の付着性のある固体を連続操作でき(図2)、さらにガスが必ず粒子層と上部の空間を交互に通過することで、気体が確実に固体と接触するものです。
これまでに、透明コールドモデル装置で粒子輸送特性を求め、粒子の滞留時間分布が極めて狭いことを明らかにしました。またガス流通を行って安定した固体層を維持できる操作範囲、ガスと固体の接触効率を求めました。さらに、金属モデル(図1、下)を用いて伝熱実験を行い、熱移動特性に対する粒子性状・運転条件の影響を明らかにしました(注)。この装置は、固体の反応だけでなく、乾燥などの物理操作についても適用可能で、今後は幅広い分野において利用可能と考えられます。
(注)らせん反応器内伝熱の研究で、化学工学会より2020年度化学工学論文集優秀論文賞を授与されました。


アピールポイント
この装置は、気固接触が良く、外部と熱交換でき、固体滞留時間分布が狭く、多少の付着性のある粒子まで利用できるこれまでにない特徴を持った装置形式です。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・固体と気体を接触させながら連続供給・排出して反応させる反応装置分野
・粒子乾燥・加熱・冷却などの固体連続ハンドリング分野