つながる研究工学部版

ナノテクノロジー・材料 材料評価学研究室
専門分野 機械材料学、材料強度学
自然科学系 准教授
大木 基史
OHKI Motofumi
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WC-Ni硬質皮膜の特性評価および応用展開

キーワードタングステンカーバイド(WC)、湿式めっき、ガス浸炭、低温プロセス

研究の目的、概要、期待される効果

 タングステンの炭化により得られるタングステンカーバイド(以下WCと表記)は、高い硬度および耐摩耗性を有することから、超硬合金工具や金型用材料として用いられています。主な成形方法として、①粉末冶金法、②溶射法、のいずれかが挙げられますが、①に関してはWC結晶成長・性能劣化や金型使用に伴う形状制約が、また②に関しては粉末溶融時の脆化η相形成・混入、といったデメリットが存在します。
 当研究室では、簡便で均一な皮膜形成が可能な湿式めっき法と、脆化相を形成しない低温域(~900℃)での炭素供給・拡散・炭化物形成が可能なガス浸炭法を組み合わせた、新規WC-Ni硬質皮膜形成プロセスを開発しました。
 このプロセスのメリットとして、めっき組成、めっき膜厚やガス浸炭条件といった施工条件を調整することで、形成されるWC-Ni硬質皮膜厚さや微細組織を用途に応じて最適化することが可能な点です。表面硬度は通常のWC-Co系超硬合金を上回るHV1700程度であり、また摩擦摩耗特性評価においてもWC-Co系超硬合金とほぼ同等の結果が得られており、金型材料や摺動部材の耐摩耗皮膜としての応用が期待されます。

関連する知的財産
論文 等

高硬度・耐摩耗性部材(特許出願済,出願番号 2020-187486)
大木基史, 高岡謙伍, 徳田祐樹, 齋藤浩: 湿式めっき・ガス浸炭複合法によるWC-Ni複合硬質皮膜の作製および機械的特性評価, 粉体および粉末冶金, 68(8), 335-341 (2021.8)

アピールポイント

 粉末冶金法(固相焼結)および溶射法(溶融凝固)のいずれでも施工不可能な、低温域(900℃以下)におけるWC形成プロセスであり、なおかつ皮膜形態(WC-Ni硬質皮膜)で利用可能です。

つながりたい分野(産業界、自治体等)

 WC-Co系超硬合金の使用分野(工具、摺動部品、金型)に関連するメーカー

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