研究の目的、概要、期待される効果
水環境は、我々の生活を支えている不可欠な環境資源の一つです。近年、工業化や家庭排水また農業排水による水質汚濁、富栄養化などによる環境問題が懸念されています。本研究室では、水質汚染物質として液体廃棄物の一つである界面活性剤(例えば、SDSおよびLAS、Fig.1)に着目して活性炭による除去法の検討を行っています。
具体例として、原子力発電所から発生する放射性廃棄物の一つに、作業衣類の洗濯や手洗いなどで発生する廃液(ランドリドレン系による廃液)があります。当該廃液の処理法として、洗剤に含まれる発泡成分の量に応じて、主として活性炭を用いた処理が施されています。そこで、ランドリドレン系で処理する洗濯廃液の効率の良い除去法の構築を目指して研究を進めています。現在は、活性炭の種類(市販品、雪椿活性炭)による性能評価や活性炭への官能基の修飾、熱処理を行い、吸着能力や吸着メカニズムを調べています。また、活性炭だけではなく、ポリジメチルシロキサン(PDMS)をコーティングしたガラス製攪拌子を用いたスターバー抽出による界面活性剤の除去も検討しています。
上記の研究で得られた吸着能力や吸着メカニズムの情報は、他分野での吸着にも応用が可能であると考えています。


アピールポイント
低コストで環境にやさしい水環境の浄化技術の確立を目指しています。これが実現すれば、原子力発電所からの「放射性廃液の減容化」にもつながり、原子力産業にも貢献できます。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
環境浄化、資源回収、リサイクルなどを行う企業、自治体