研究の目的、概要、期待される効果
製品の触り心地や触診、道具の把持具合など、人間は触覚を通じて触った物の感覚を得ています。触覚は皮膚の変形や振動、温度変化でもたらされる複雑な感覚であり、視覚や聴覚のように確立したセンシング技術はまだありません。
私たちは、MEMS技術を用いたマイクロ触覚センサチップの研究開発を行っています。5 mm角のチップ上に大きさ0.1~0.3 mm程度の複数の微小構造を作製し、それらを皮膚を模した柔軟なエラストマーに埋め込んでいます。このチップひとつで、接触時の荷重や滑りに加え、光検知による近接覚や温度検知に冷温感の計測ができます。超小型・軽量なので、指先や工具に設置することも可能です。また、本センサでの計測データを提示するための複合触覚提示デバイスも開発中です。
このセンサを用いて触覚をデータ化することにより、下記のような応用が期待されます。
・農作物や生体などのやわらかいものを器用に持つための把持制御
・人の皮膚の変形計測や触診のデータ化
・熟練工の手によるワザの数値化
・布や樹脂、金属などの表面の触り心地の良しあしを定量的に評価する

アピールポイント
センサの大きさや形状などの設計は用途に応じてさまざまに対応可能です。ある程度までの試作は研究室の設備で可能ですので、安価に研究開発を行うことができます。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・加工製造業でやわらかいものの把持や人の手の感覚をデータ化したい分野
・医療福祉関係で皮膚への接触に関連する分野
・衣服や化粧品などの触感が重要な分野