研究の目的、概要、期待される効果
システム電圧の高い大規模太陽光発電所では、太陽光発電システムの出力が数ヶ月から数年程度の短期間で大きく劣化することがあります。この現象は電圧誘起劣化(PID)と呼ばれ、2005年に発見された比較的新しい現象です。2010年以降は世界各国の研究機関でPIDに関する研究が進展し、太陽電池メーカーでも対策が練られてきましたが、PIDのメカニズムは完全に解明したわけではありません。
本研究室では各種太陽電池におけるPIDに関する多くのデータを蓄積し、様々な仮説のもとに検証を進めて参りました。しかし、多くのPID現象において劣化要因とされるナトリウムのセル中への侵入過程等の検証は未だ充分とは言えません。さらに、ペロブスカイト/結晶シリコンタンデム型等の新しい太陽電池に関するPIDの知見も充分ではありません。本研究室ではPIDのメカニズム解明が劣化抑止対策に必要不可欠と考えています。人為的に劣化要因を組み込んだテストサンプルや、微視的分析手法を駆使する等して、メカニズム解明に取り組んでいます。さらには、メカニズムに基づいた劣化対策の実用化にも取り組んでいます。
本研究は、北陸先端科学技術大学院大学、筑波大学との連携により実施しています。


アピールポイント
屋外での長期使用により太陽電池の性能変化が生じる原因を、材料科学的観点から究明する研究に10年以上携わっていますので、様々な知見を持ち合わせています。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
太陽電池メーカー、電機メーカー、化学メーカー、材料・素材メーカー、半導体製造装置メーカー等