研究の目的、概要、期待される効果
今日の構造解析には有限要素法が多用されています。弾塑性有限要素解析の計算精度は、材料構成則の選択に大きく依存します。金属系材料の硬化現象を考慮可能な材料構成則はこれまで、多く提案されてきたが、諸式が複雑、かつ、計算負荷が大きいものが多く、実用性に乏しいです。本研究室では、多軸応力場での硬化現象を再現可能、材料定数の決定方法が明快、かつ、計算負荷が小さい、実用的な材料構成則の開発を目指しています。
図1に示すように、非硬化領域モデルに軟化則を考慮し、地震時に生じる繰り返し負荷時の硬化現象を考慮可能な材料構成則を開発しました[1]。この材料構成則では、1種類の材料試験により、材料定数を決定することができます。
また、ニューラルネットワークの計算効率および回帰性能の高さに着目し、材料構成則への適用性に関する研究を行っています[2, 3]。図2は、ニューラルネットワークの構成を示しており、材料定数や塑性関連のパラメータを入力し、ネットワークを介して、塑性ひずみの増分を出力します。図3は、従来手法とニューラルネットワークによる計算結果を比較しており、両者の差異が小さく、開発手法の有効性を示しています。


アピールポイント
多軸応力場の材料構成則の定式化および汎用有限要素プログラムへの構成則の実装ができます。ニューラルネットワークを構造解析の諸問題に適用できます。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・高度な材料構成則を用いて、構造物の弾塑性解析を高精度に実施したい方
・構造解析関連の諸問題の解決にニューラルネットワークを適用したい方