2010年度
第1回生体材料・医用デバイス研究開発コアセンター研究会

日時:平成22年7月5日(月)
場所:新潟大学 工学部103講義室 16:25〜17:55(開場:16:15)

講演会

16:25-17:35
タイトル:医工連携で達成した世界初の自家象牙質移植 −All for patients−
講演者 :准教授 村田 勝氏
        歯学部 顎顔面口腔外科学講座
        北海道医療大学

講演概要:
 歯槽骨や人工歯根の支持骨の再生医療を目指し、自己の不要歯(抜去歯)を安全にリサイクル、リユースする観点から、抜去歯を容易に冷却粉砕・洗浄できる小型自動粉砕処理装置(PCT 出願)を開発した。この装置を用いて調製した抜去歯由来生体材料(完全脱灰象牙質顆粒)は、動物実験より治療部位に優れた骨誘導・吸収性材料であることが立証された。北海道医療大学倫理委員会の承認下で、完全脱灰象牙質顆粒の世界初の自家移植手術を実施して以来、大学や歯科医院等すべての臨床例で成功をおさめている。本治療法は、普及型医療として国内外で注目され、様々な歯科医療や高度先進医療へ応用が期待される。


17:35-18:00
タイトル:高齢化社会に役立つバイオマテリアルと骨再生医療
講演者 :研究主幹 赤澤 敏之氏
        産業技術研究本部 工業試験場
        北海道立総合研究機構

講演概要:
 超音波や攪拌溶解析出法により、焼成海綿骨や市販多孔性材料を部分溶解後、ナノ結晶を再析出・複合化し、生体吸収と骨リモデリングに優れた生体模倣セラミックスを開発した。天然資源から生理活性物質の分離回収を目指し、動物骨の冷却高速粉砕処理装置を商品化した。粉砕・酸処理条件の選定により、生体骨の完全脱灰顆粒は、動物実験では軟骨・骨誘導が確認され、骨形成物質が含有されることが分かった。高齢化社会に伴い骨代謝疾患や感染症が急増し、効果的治療法や簡便な医用装置が求められている。統合医学や予防医学の観点から、生体系バランスを制御する医療とバイオマテリアルの共生を強調したい。

田邊先生 タンナー先生
講演の始まりの風景と公演中の様子 自家象牙質移植による大いなる可能性が感じられた