研究の目的、概要、期待される効果
微小な液滴が、高速で壁面に衝突する際に発生する衝撃力によって材料に機械的壊食を引き起こす現象を液滴衝撃エロージョン( LDI:Liquid Droplet Impingement Erosion)と呼びます。この現象は、火力・原子力発電プラントの蒸気配管の配管減肉、蒸気タービンの壊食で見られます。最近では、風車翼と雨との衝突によりブレード先端が損傷するレインエロージョンの問題も顕在化してきました。安定したエネルギーの供給や各種発電プラントの安全管理のためには、液滴衝撃や雨粒との衝突によるエロージョンのメカニズムを解明し、その予測法を確立する必要があります。
エロージョンには、液滴速度、液滴径、衝突頻度、液膜厚さ、材料強度など多くのパラメータが影響しています。本研究では、スプレーノズルを用いた高速噴霧流や直線噴流と回転円盤を用いた間欠噴流試験装置を構築し、主に金属材料を用いた壊食実験により減肉速度と各種パラメータの関係を検討してきました。
これらの研究結果をもとに、より実現象に近い条件での正確な減肉速度の予測法を開発することで、プラント配管や風車翼の効率的な検査、適切な管理が可能となり、発電プラントの安全性が高まると考えられます。

アピールポイント
高速噴霧流の液滴径が数十μm、液滴速度は最大180m/sでの各種材料の壊食実験が可能です。間欠噴流式試験では、100m/s~200m/sでの壊食試験や衝突速度計測が可能です。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
火力・原子力などの発電プラント、風力発電設備の設計・製造や保全に関わる企業