研究の目的、概要、期待される効果
米は、日本だけでなく世界中で食生活の中心を担っています。しかしながら、現代では日本の食の多様化により米の消費量は減少傾向にあります。このような背景を受けて、米の新たな付加価値を生み出すべく新しい機能性成分を探索しています。
ディフェンシンは、高等生物の先天性免疫系において機能する抗菌タンパク質の一種として知られています。私たちは、イネに含まれるディフェンシンの一つが、ヒト病原性真菌を強力に殺菌することを発見しました。一方で、このディフェンシンは、既存の抗真菌薬とは異なりアポトーシスを誘導する新規な作用メカニズムを示すことを明らかにしました。現在、タンパク質工学を用いた機能改良を進め、新たな抗真菌薬の開発をめざした研究を進めています。
また、米糠成分からペプチド性チロシナーゼ阻害剤を見出しました。チロシナーゼは、我々の皮膚細胞において色素沈着を引き起こす律速酵素であり、この阻害ペプチドは、皮膚の過剰な色素沈着を防止する効果をもたらすことが期待されます。
このように、米由来の成分から、化粧品や医薬品、あるいは機能性食品に応用可能な材料を製造する技術開発を行っています。


アピールポイント
米に関わらず、食品などの様々な天然物質から機能性成分を探索・単離し、評価することができます。また、それら機能性の発現メカニズムの解明などの基盤的研究も行えます。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
天然物由来の新しい機能性成分を求めている、食品、化粧品、繊維、医薬品系の企業や各種研究機関を期待します。