研究の目的、概要、期待される効果
太陽活動源である磁場がどのように形成されているのか(太陽ダイナモ問題)の解明を目指しています。
太陽ダイナモ問題は150年以上の天文学の問題であり、数値シミュレーションと物理学理論の面から精力的に研究されてきました。一方で、そこで提案された理論モデルの観測実証には、太陽表面で見られる微小な磁気塊や対流構造の大統計解析が必要があり、コンピュータによる自動認識・追跡が必要となります。しかし、これらの流体構造は、変形や衝突による合体・分裂・消滅などの相互作用を伴いながら時間発展するため、既存の物体追跡方法では困難です。
本研究室では、そのような変形や相互作用を考慮した、効率的な物体追跡アルゴリズムを開発しています。JAXAやNASAの科学衛星が取得・蓄積してきた観測ビッグデータと組み合わせ、これまでに提案されてきた理論モデルの初めての実証が期待されます。また大統計解析を通して、画素の1/100程度の高い精度での運動検出性能を達成しており、観測データからの理論モデル改良も期待されます。


アピールポイント
変形や相互作用を伴った構造の追跡を、少ない計算資源で行うことができます。また、高い追跡精度から、画素以下の運動情報を検出することなども可能です。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・画像データ、特にその時系列データからの高度な情報抽出を必要としている分野。
・画像等のビッグデータにおける新しい有効利用方法を模索している分野。