研究の目的、概要、期待される効果
太陽日射が豊富な海外のサンベルトでは集光して得られる太陽集熱による太陽熱発電が実用化されています(右上図)。日本国内では再エネ電力を熱に変換・蓄熱し、熱→電力として取り出すpower-to-heat-to-power型蓄熱発電での利用が期待できます。太陽熱や再エネ電力は日射変動による不安定性や夜間利用できない欠点があり、需要と供給に合わせた安価で高エネルギー密度の蓄熱技術開発が必須です。従来の蓄熱技術は合成油や硝酸系溶融塩による液体の顕熱蓄熱、固体による顕熱蓄熱が主流であり、発電温度の高温化や蓄熱密度の高度化に対応できなくなっています。
本技術①は、高熱伝導性の金属合金による潜熱蓄熱技術を開発しています(右中図) 。この技術は経時変動する高温熱を平準化し、固体/液体の相変化を利用することで高密度の熱エネルギー貯蔵が実現できます。潜熱蓄熱材料に金属合金系の採用により高い熱応答性が期待できます。
本技術②は、マンガン酸化物やペロブスカイト酸化物の酸化還元系を利用した化学蓄熱システムの開発を行っています(右下図) 。化学反応を利用した蓄熱のため、潜熱より高エネルギー密度の蓄熱が可能です。金属酸化物を熱媒体として利用する高温蓄熱システムが考えられます。

アピールポイント
金属合金や酸化物の高温熱物性(比熱・潜熱/反応熱、密度、熱伝導率)に着目し、高温領域での蓄熱技術開発を進めています。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
変動熱源を有効利用したい分野、高温排熱の貯蔵・利用を目指す分野の企業を期待します。