研究の目的、概要、期待される効果
図1は各種顕微鏡の視野と解像度の関係で、解像度を上げると視野が狭くなることが分かります。この関係にとらわれないのが当研究室で開発した広視野レーザ顕微鏡です。広領域計測が必要なのは、図2(a)に示す広い範囲に分布する真実接触面積を測定するためです。ここを通して熱や音が伝わり、摩擦力が発生するので、機械部品の性能向上を図る上で非常に大切なのですが、実はほとんど測定されていません。我々は、広視野レーザ顕微鏡を使い真実接触面積の測定を可能にしました。
図2(c)に銅ガスケットとフランジを示します。銅ガスケットはフランジの旋削尾根と接触することが求められますが、実際は加圧力不足により図2(d)に示すように途切れているところが見られます。この観察結果を基に設計変更をすれば漏れ量を低減することが可能です。また、図2(b)は、水道混合栓の摩耗量をレーザ干渉計測で測定した例です。干渉計測は市販の装置で可能ですが、図1に示したとおり視野が狭いので、実はこの計測例のほんの一部しか計測することができません。
このように広視野計測を行うことで、機械要素の性能向上を図ることができます。広視野計測は当研究室が提唱している手法ですが、認知度が低いので、興味のある方に試してもらいたいです。

アピールポイント
細く集光したレーザを使って光学顕微鏡の400倍広い領域観察が可能です。
上記の広い領域にわたり、ミリからナノレベルの計測が可能です。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・顕微鏡で表面観察しているけどイマイチ現象の本質が分からないとお困りの方。
・機械要素の接触部分の状態を知りたい、あるいは摩擦を制御したいと考えている方。