研究の目的、概要、期待される効果
バイオマス材料を応用した吸音材料として、稲藁、もみ殻、そば殻、古紙に着目しました。バイオマスの再利用は炭素の固定にも繋がり、後に焼却処理されてもカーボンニュートラルです。例えば、もみ殻は約160万トン、そば殻は2~3万トンが年間排出されており、その一部は利活用されないまま焼却、廃棄されています。稲藁、もみ殻、そば殻は、その形状や寸法が吸音に適しています。稲藁はユニークな断面形状から優れた吸音特性を持ちます。また、もみ殻、そば殻は、フレーク状の形状と大きさが吸音に好適です。研究室主宰者は当初、実験によりそれらの優れた特性を明らかにしました。その後、理論的に稲藁の吸音率を解析し、計算でもその優れた特性を明らかにしました。昨今では、もみ殻、そば殻についてマイクロCTスキャンを行い、その断面画像から解析モデルを構築し、理論的に吸音率を導きました。それらの吸音率は実験結果ともよく一致しました。これらの知見は、これらの天然材料の他にも応用が可能であると考えられます。このような、天然素材の活用は、農業と建設業、工業などとの共存共栄をもたらし、将来的に持続可能な社会に貢献すると考えます。

アピールポイント
天然素材のリユースは、リサイクルや純粋な工業製品と異なり、製品に至るまでの消費エネルギが小さく循環型・持続可能な社会に適していると考えられます。外観もアースカラーです。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・このような天然素材の防腐、防虫、難燃化技術を持ち、商品開発・製造に興味を持つ企業
・農業副産物の利用・回収・集積のノウハウを持つ農業法人・自治体