研究の目的、概要、期待される効果
海洋は第二の宇宙といわれますが、電波を利用したアプリケーションは数えるほどです。近年の電子および測定技術の発展もあり、短距離の範囲に限定されますが、海中で電波を利用したシステムが再び脚光を浴びています。たとえば、海洋資源開発に利用されるシステムにおいては、通信・制御のワイヤレス化などが期待されています。しかしながら、海洋での電波実験は大変なコストと時間がかかり、その研究・開発を推し進めるためには、スケールダウンした、簡易で低コストな海洋模擬環境の実現が大いに嘱望されています。
石井研究室では、実験室の机の上に設置できるサイズの水槽に食塩水をみたし、疑似的に実際の大気・海水2層モデルを実現することを検討しています。基本原理は、マクスウェルの方程式をスケールすることに帰着しますが、利用周波数において海水が導電媒質であることに着目して、導電媒質に特化した疑似スケール則を導出しています。電波を利用したダイバー位置推定問題を題材に、疑似スケールモデルの妥当性について、FDTD法による電磁界数値シミュレーション、実際に水槽を用いた疑似スケールモデル実験系で海中ダイポールアンテナによる電界分布を計算、測定することで検証しています。

アピールポイント
水槽を用いた疑似スケールモデル実験は、基本的なRF測定装置を揃えるだけで、容易に実施できます。詳しくは、研究室のホームページをご覧ください。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・海洋資源開発、海底開発などの海中電波利用を必要する可能性がある分野。
・水中ロボットカメラシステムなど、ダム・港湾などの社会インフラ保守管理に関する分野。