研究の目的、概要、期待される効果
晶析は古い単位操作技術ですが、産業界では今なお根強いニーズがあります。その理由として、晶析が分離精製に加えて材料創製の側面を持っていること、固体が関わるため操作難度が高いこと、操作の良し悪しが最終製品に直接的な影響を及ぼすこと、などがあります。晶析は核発生や結晶成長など複数の物理化学現象が同時に進行するため、これらを装置内で制御して希望品質の結晶製品を製造するには、何より現象理解が大切になります。
本研究室では、冷却晶析(融液系を含む)と反応晶析を中心に、粒径分布や結晶純度などの結晶品質制御法と条件選定のための設計計算式の開発を目的に、現象理解に基づく実験研究を進めています。これまでに、反応晶析法による難溶性硫酸塩系での単分散微粒子製造、滴下冷却晶析法によるカリミョウバン単分散結晶の製造、反応晶析造粒法による安息香酸や炭酸マンガンの大粒径結晶造粒物の製造、貧溶媒晶析法による医薬品原薬の粒径分布制御、回分晶析塔を用いた粗製リン酸の分離精製、などを検討しています。いずれの研究課題もすぐに産業応用できるよう、定番の装置や手法を用いることに念頭を置いて検討しています。
本研究を深めることで、所望品質の結晶製品を生産するための工学的な方策が明らかになります。


アピールポイント
企業で晶析を知っている人は少なく、多少なりとも心得があるとアドバンテージになると思います。本学の研究支援制度に機会を得て、実践的に学んでみられてはいかがでしょうか。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・晶析技術に関わりのある産業分野、化学工学や晶析工学の考え方や手法を適用してみたい方。
・晶析の基礎理論を学んで工学的な指針をもとに研究開発を進めてみたい方(学術指導制度)