研究の目的、概要、期待される効果
温度によって物質の状態が変わることはよく知られています。しかし、圧力によっても状態が変わることをご存じでしょうか。例えば、水は100 ℃でも2.5万気圧以上では氷(VII)であり、常圧で強磁性体である鉄は15万気圧以上で超伝導を示します。ミクロの目で見ると、結晶中における原子の周りの電子の性質は、隣の原子の電子との軌道の重なり具合によって劇的に変化します。圧力は原子間距離をコントロールし、電子の性質を変化させることができます。
電子同士のクーロン斥力が強い強相関電子系と呼ばれる物質群では、常圧で磁気秩序を示すものが、圧力によって抑制され超伝導が発現することが多々あります。これはBCS理論で説明できるものとは異り、電子の自由度を媒介とした新しい超伝導です。このように物性研究にとって圧力はもはや欠かせないツールとなっており、当研究室では主に圧力下で絶対零度に近い温度までの輸送特性測定による物性研究と簡便で応用範囲の広い圧力発生装置の開発を行っています。
また、主に遷移金属や希土類元素を含んだ金属間化合物を対象に物性研究を行っていますが、圧力は化学、生物、食品分野でも応用が可能であり、多種多様な共同研究、開発を募集しています。


アピールポイント
当研究室では、試料作成から高圧力下での物性測定を一貫して行っています。近年では圧力下で「光」を試料に当てるためのサファイヤアンビルセルの開発も行っています。
つながりたい分野(産業界、自治体等)
・物性研究全般
・食品、種子などへの圧力効果
・高圧下に耐える材料および構造の開発
上記に興味のある方は是非!