平成18年度設計製図U

 JABEEの要請に対応すべく本年度の設計製図は,課題発見と問題解決のための設計製図の授業とした.学生自ら身近な問題を発見し,それを解決するための装置を考え,設計と図面化を行い,モデルを作製するものとした.
 以下に授業の概要を示す.

製作品発表会の様子

設計製図U日程

●4〜5人グループ(19グループ)

●今年度の課題
 ・福祉・高齢化社会(ユニバーサルデザイン)
 ・環境環境対策(省エネ)
 ・循環社会(リサイクル)
 ・その他

__・10/3 :夏休みレポート(個人)提出, 授業の再説明,ボルト実験の説明
__・10/10:一組 ボルトの破壊実験,    二組 課題についての話し合い
__・10/17:一組 課題についての話し合い, 二組 ボルトの破壊実験

__   ・10/20までに、チームで課題に対する“もの”を3つ提出
__     製作予定の“もの”の製作可能性等を判断し、各チームの“もの”を決定。
__・10/24:各グループの”もの”の決定.”もの”に対する打ち合わせ開始
__・10/31:各グループでの打合せ・ポンチ絵,仕様,機構,使用材料等の話し合い
__・11/ 7:各グループでの打合せ・ポンチ絵,仕様,機構,使用材料等の話し合い

__   ・11/17までに、仕様書・ポンチ絵の提出
__・11/21:各グループ課題の発表と学生同士の評価
__・11/28:図面(組み立て図・部品図)の作成
__・12/ 5:図面(組み立て図・部品図)の作成
__・12/12:図面(組み立て図・部品図)の作成・提出
__・12/19:図面から,モデルを作成(外観・機構)
__・ 1/ 9:図面から,モデルを作成(外観・機構)
__・ 1/16:図面から,モデルを作成(外観・機構)
__・ 1/23:”もの”の説明発表会・学生同士の評価
__・ 1/30:評価結果の公表(製図室)

夏休みレポート作製方法

@“課題”を見つける.
A“課題”の現状を調査
      (1日、ある場所に行き、人などの行動を観察してレポートに書く
         A4:1枚以上 )
   上記観察調査を基に、
__・“課題”を列挙
__・課題”の解決策を列挙
__・課題”の解決策に対する“もの”を創造する
__・“もの”の簡単なポンチ絵を書く
__・“もの”の新規性・独創的な点を書く
B次の観点を必ず取り入れる
__【 新規性・独創性、品質・耐久性・安全、外観(デザイン) 、 コスト】
__必修条件:・複雑な機構・形状にしないこと(製作可能なこと)
__      (Simple is Best:簡単化することに知恵を使おう!)
__・社会に役立つ“もの”にすること
__*必ず “課題”を3つ書き出すこと!
__   (ただし,観察調査は,1つでもかまわない)

3大テーマに対する一例

<福祉・高齢化社会>
__・簡易一人用介護リフト
__・水のいらない簡易トイレ
__・和室に合う車イス

<省エネ・環境>
__・砂落としマット
__・小型風力発電機(街頭用)
__・カラス退治機
__・伸縮自在・近隣付近の環境に調和したゴミステーション

<リサイクル>
__・簡易洗浄機能付き空き缶(ペットボトル)回収ボックス
__・プラスチック表示シール剥がし機

提出仕様書の内容

__・課題名
__・課題に対する,現状・問題点
__・問題点の解決方法と,その手法を用いた理由
__・課題の観点(与えられたもの・必修条件)の選択とその選択理由
__・その製品のコンセプト(利点・工夫する点)
__・ポンチ絵(おおよその大きさ,外観,機構など)
__・使用する材料,部品のリスト

例1:福祉・高齢化社会

__<課題>:和室でも利用可能な介護用リフト
__<現状・問題点>
__・現在,足腰の不自由なお年寄りの在宅介護でお世話をする家族が大変なのは,ベットか
__ ら,椅子や,簡易トイレへの移動である.移動の際,どうしても二人で,一人を持ち上げ
__ なければならない.そのような状況を解決するために,移動をアシストしてくれる簡易リ
__ フトが用いられる.しかし,現在の市販品は,使用する場所がフローリングなど洋室が主
__ である.

__<解決策>
__  和室でも使用可能な,倒れにくい,簡易リフトを作製する.

例2:省エネ・環境

__<課題>:工学部の周りのタバコの吸い殻を自動で拾い集める装置
__<現状・問題点>
__・新潟大学の敷地は,広大であるがあまり整備がなされていない.雑草もあるがタバコのポ
__ イ捨てが大学の景観を悪くしている.学生のモラルにばかり任しておいては問題が解決し
__ ない.スマートにタバコの吸い殻を集める装置が望まれている.

__<解決策>
__  主に屋外で使用できる,成人の身長の半分程度の自走式吸い殻収集装置を作製する.
__  (この場合,自走式のメカニズムはアイデアだけとし,メカ部を設計する.しかし,自
__   走式のためのセンサー部や信号処理部などは外注で実現可能なものでなければならな
__   い.)

例3:リサイクル

__<課題>:ホワイトボードの白板消しはすぐに使えなくなる
__<現状・問題点>
__・新潟大学工学部の講義室では,ホワイトボードを使用しているところもある.ホワイトボ
__ ードの白板消しは,インクがその表面に堆積するとすぐに使えなくなり,授業での教育効
__ 果が上がらないと問題になっていた.黒板消であれば,チョークの粉をとるような装置が
__ 市販されている.

__<解決策>
__  操作が簡単な白板消し再生装置を開発する.



製作された作品の一例


1班 車椅子専用買い物カゴ(補助器具)

2班 ゴミ袋押し込み機

3班 介護・看護用折りたたみ可能ベット

4班 傘の水取り装置

5班 座面が上下でき、使用者も介護者も楽な椅子

6班 ペン持ち 補助器

7班 吸殻回収機

8班 ヨソウGUYです、本棚。

9班 アクティブ車太郎(車椅子のフットレスト)

10班 車椅子用後付ブレーキ

11班 たち座り補助機

12班 ベットになる車椅子

13班 座杖

14班 回転板付き椅子

15班 静音黒板消しクリーナー

16班 車椅子の座席昇降機

17班 つけはずしの便利なカーテンレール

18班 ワンタッチで上下に可動できる松葉杖

19班 介護用車椅子用の机