平成17年度設計製図U

 JABEEの要請に対応すべく本年度の設計製図は,課題発見と問題解決のための設計製図の授業とした.学生自ら身近な問題を発見し,それを解決するための装置を考え,設計と図面化を行い,モデルを作製するものとした.
 以下に授業の概要を示す.



モデル作製のスナップ写真


モデルを作りやすくするために,
小型の工作機械を導入した.

設計製図U日程

●4〜5人グループ(21グループ)

●今年度の課題
 ・福祉・高齢化社会
 ・省エネ・環境
 ・リサイクル・洗浄

__・10/4 :授業の説明,ボルト実験の説明,夏休み中に考えた問題と解決手法の課題提出
__・10/11:一組 ボルトの破壊実験,    二組 課題についての話し合い
__・10/18:一組 課題についての話し合い, 二組 ボルトの破壊実験
__・10/25:各グループ課題の決定(先生方に報告:前半の時間)
__・11/8 :各グループでの打合せ・ポンチ絵,仕様,機構,使用材料等の話し合い
__・11/15:各グループでの打合せ・ポンチ絵,仕様,機構,使用材料等の話し合い
__・11/22:各グループ課題の発表と,ポンチ絵,仕様書の提出
__・11/29:図面(組み立て図・部品図)の作成
__・12/13:図面(組み立て図・部品図)の作成
__・12/20:図面(組み立て図・部品図)の作成・提出
__・1/10 :図面から,モデルを作成(外観・機構)
__・1/17 :図面から,モデルを作成(外観・機構)
__・1/24 :図面から,モデルを作成(外観・機構)
__・1/31 :製作品発表会(モデルの説明・評価会)
__・2/7 :予備日

設計までの流れ

@3大テーマから,1つテーマを選ぶ.
A1つのテーマから,取り組みたいと思う“課題”を見つける.
  <見つけるポイント>
__・“課題”の現状を調査する(現在どのようなものが使われているか?など)
__・“課題”の問題点を挙げる
__・“課題”の問題点の解決策を挙げる
__・“課題”の解決策に対するものを設計・製作できるかどうか判断する
__・簡単なポンチ絵を作製する
__・その製品のコンセプト(利点・工夫する点)を書いてみる
__
B3設計・製作に際し,次の観点のいずれか数点を必ず取り入れる
__【 品質・コスト・安全・作製メリット・信頼性・外観(デザイン)・耐久性 】

__必修条件:・複雑な機構・形状にしないこと(製作可能なこと)
__・売れそう,又は社会に役立ちそうなものを作る

3大テーマに対する一例

<福祉・高齢化社会>
__・簡易一人用介護リフト
__・水のいらない簡易トイレ
__・和室に合う車イス

<省エネ・環境>
__・砂落としマット
__・小型風力発電機(街頭用)
__・カラス退治機
__・伸縮自在・近隣付近の環境に調和したゴミステーション

<リサイクル>
__・簡易洗浄機能付き空き缶(ペットボトル)回収ボックス
__・プラスチック表示シール剥がし機

提出仕様書の内容

__・課題名
__・課題に対する,現状・問題点
__・問題点の解決方法と,その手法を用いた理由
__・課題の観点(与えられたもの・必修条件)の選択とその選択理由
__・その製品のコンセプト(利点・工夫する点)
__・ポンチ絵(おおよその大きさ,外観,機構など)
__・使用する材料,部品のリスト

例1:福祉・高齢化社会

__<課題>:和室でも利用可能な介護用リフト
__<現状・問題点>
__・現在,足腰の不自由なお年寄りの在宅介護でお世話をする家族が大変なのは,ベットか
__ ら,椅子や,簡易トイレへの移動である.移動の際,どうしても二人で,一人を持ち上げ
__ なければならない.そのような状況を解決するために,移動をアシストしてくれる簡易リ
__ フトが用いられる.しかし,現在の市販品は,使用する場所がフローリングなど洋室が主
__ である.

__<解決策>
__  和室でも使用可能な,倒れにくい,簡易リフトを作製する.

例2:省エネ・環境

__<課題>:工学部の周りのタバコの吸い殻を自動で拾い集める装置
__<現状・問題点>
__・新潟大学の敷地は,広大であるがあまり整備がなされていない.雑草もあるがタバコのポ
__ イ捨てが大学の景観を悪くしている.学生のモラルにばかり任しておいては問題が解決し
__ ない.スマートにタバコの吸い殻を集める装置が望まれている.

__<解決策>
__  主に屋外で使用できる,成人の身長の半分程度の自走式吸い殻収集装置を作製する.
__  (この場合,自走式のメカニズムはアイデアだけとし,メカ部を設計する.しかし,自
__   走式のためのセンサー部や信号処理部などは外注で実現可能なものでなければならな
__   い.)

例3:リサイクル

__<課題>:ホワイトボードの白板消しはすぐに使えなくなる
__<現状・問題点>
__・新潟大学工学部の講義室では,ホワイトボードを使用しているところもある.ホワイトボ
__ ードの白板消しは,インクがその表面に堆積するとすぐに使えなくなり,授業での教育効
__ 果が上がらないと問題になっていた.黒板消であれば,チョークの粉をとるような装置が
__ 市販されている.

__<解決策>
__  操作が簡単な白板消し再生装置を開発する.


製作品発表会

20グループの発表会.学生自身が自分以外のグループの作品を評価すると共に,グループ内のメンバーの評価をも行う


製作された作品の一例


6班 介護用車椅子(リフト付き)

10班 自動減容機能付きペットボトル回収機

14班 介護ベット用補助台

16班 海岸用清掃車

12班 ペットボトル回収機