夏の学校渡航記

829日 晴れ。朝7:45新潟空港ロビー集合。遅刻者も無く、全員時間までにそろう。すぐにチェックインして8:15までには全員完了。セキュリティと出国審査が開くのが8:30ということで、それまで各自空港内で時間をつぶす。

 

8:30 セキュリティ前の列に並ぶ。特に大きな問題は無かったが、ベルトに金属鋲をいっぱいつけたものと、ライターの個数が多いということで引っかかったくらいであった。

 

9:15 搭乗開始。搭乗率7割〜8割くらいか。

 

9:45 100度方向(阿賀野川方向)に離陸して左旋回。左眼下に三菱ガス化学の工場が良く見える。次いで新潟島沖を通って大学沖に出る。前日の雨のせいか、信濃川河口、関屋分水河口からは茶色くにごった水が出てきて、青い海とはっきり区別ができる。大学沖では大学のキャンパスが左に確認できる。順調にフライトを続け、能登半島上空、金沢沖を通過する。その後は日本海を西に進む。途中秋雨前線のため多少ゆれたが特に問題なし。10時過ぎに機内食が出る。ライス、鮭の蒸したもの、にんじん、ブロッコリー、バターロール、バター、桃ゼリーがでた。

 

11:45 インチョン(仁川)到着。Transferの入口を探してすぐに見つかるが、そこでは乗り継げないとのことで、ターミナルの根元まで500mくらい歩いてそこにあるTransferでセキュリティチェックをする。新潟より厳しく、上着を脱いでそれをX線透視する。また、ベルトのバックルやネクタイピンも引っかかる。チェック終了後、出発階へ上がる。そこからまた500mくらい歩いて、出発ゲート21番に着いたのが12:15であった。搭乗が12:45からということで、それまでは自由行動。ゲート前の飛行機行き先表示が英語、ハングル、中国語のほかに日本語もあった。かなり日本人の利用が多いと思われる。売店で水を買ったりした。売店のミネラルウォーター(Evian, 500ml)の価格が2000ウォンであった。(現地の交換レート100=771ウォン、1USD=893ウォン)。外貨は紙幣しか受け取らないとのことで、清水は5$2本買い、おつりが400ウォン来る。学生は4人で1000円出して、それに400ウォンを足して4本購入する。しかし、不思議なことに少し足りないといわれ、日本円のコインで60円支払う。

 

12:45 搭乗開始。われわれの乗るKE905便(B747-400)の隣に見覚えのあるB737が駐機している。誘導路の位置関係からしてわれわれの乗ってきたものに違いない。到着してすぐにあったTransferで移動ができれば、ほとんど歩かずにすんだのであるが、なぜターミナルの根元まで行けといわれたのか、いまだ持って不明である。

 

13:15 ほぼ満席状態となり出発予定時刻を迎える。しかし、なかなか動かず。機内のアナウンスで、中国の管制から許可が下りず、出発が遅れるとのこと。機内ではアメニティセット(歯ブラシ、靴下、アイマスク)が配布される。最近では経費節減のためにこのようなセットは他の航空会社では配られないので、貴重である。30分ほどして13:50にスポットを離れる。

 

14:07 離陸。飛行予定は約11時間であり、到着は現地時間18:03の見込み(日本時間翌日1:03)。ルートは北京−ウランバート−ルイルクーツク−クラノヤルスクを経由する。途中、北京では空港上空を通る。新しい空港ビルディングが上空から見える。北京北方の山地には万里の長城があるはずだが、雲がかかっていて残念ながら見えず。機内第1回目の食事は、ビビンバとビーフシチューのいずれかであった。ビビンバは、ご飯とおかずが別個のパッケージになりそれを混ぜて、絵の具のチューブみたいな容器に入ったコチュジャンをかけるもの。インスタントスープ、キムチもついた。デザートは甘いもち米菓子であった。ビーフシチューセットは、マッシュポテト、にんじん、ブロッコリー、胚芽入りパンとの組み合わせであった。デザートはカステラのようなもの。飲み物は赤か白のワインであった。食後は窓のシールドが閉められ機内が暗くなった。インチョン−フランクフルト間のキャビンアテンダントも結構日本語を話してくれた。やはり日本人が多いのであろう。途中で中度の乱気流に遭遇して揺れたが、特に支障なし。

 

機内の前の座席の背には液晶TVがあり、飛行情報、映画、ゲームなどがある。コントロールは、肘掛についているコントローラーか、液晶タッチパネルであり、タッチパネルは比較的使いやすい。と、書いていたら、タッチしても応答しなくなり、コントローラーも動かなくなってしまった。

 

機内誌かどこかに、機内の空気は乾燥しているので(相対湿度約15%)、水分補給をするようにと書いてあった。ためしに、呼吸で失われる水の量を次の仮定の下に計算した。空気は温度25℃、相対湿度15%であり、排気は36℃、飽和蒸気として、呼吸回数15/分、1回の呼吸0.5lとする。毎時17gずつの水が呼吸で失われ、11時間のフライトでは190gが失われるという結果になった。これに汗による損失を加えるとかなりの量になる。長時間のフライトでは、まめな水分補給が脱水症状を予防するのに必要である。

[演習問題]

1)高空では空気の絶対湿度が地上に比べてかなり低い。この原因を考察せよ。

2)普通の空気で25℃、相対湿度75%のときに、呼吸で失われる水分量は毎時何gになるであろうか。

 

21:30(ドイツ時刻14:30) 2回目の食事がでる。チキンと魚の選択。チキンは赤いソースがかかってイタリア風トマトソース煮、と思って食べたら辛かった。よく見ると赤い色は唐辛子の色であった。チキンのほかに、にんじん、ジャガイモ、しいたけが入っていて、グリーンピース入り白ご飯が添えてあった。生野菜は、セロリ、赤ピーマン(これは辛くなかった)、サニーレタスにドレッシングがかけられていた。デザートはパイナップルとメロン。パンとバター付き。食べ終えた後は汗と鼻水が出た。

 

以降現地時刻

18:11 フランクフルト到着。到着直前にはMainz上空で旋回する。飛行機からMainz大聖堂が良く見える。飛行機から降りるとき、誰かが座席の下に靴を忘れたのが発見される。坂本先生であった。到着後、入国審査。坂本先生は過去のドイツ滞在のヴィザが入国審査で話題になり、入国審査官と話が弾む。その他の人は滞在日数以外に特に聞かれることは無かった。託送荷物を受け取った後、タクシーでユースホステルへ。タクシー料金約24ユーロ、これにチップを10%くらいつけてきりの良い数字で渡す。

 

19:20頃 ユース到着 なかなかチェックインの順番が回ってこず、回ってきたときには19:40頃になっていた。夕食が19:30までということで、チェックインの前に夕食をとるように指示され、地下の食堂へ行く。チキンのカレー風味煮込みにライスまたはパスタ。付け合せは生野菜、にんじん、キャベツ(生の酢漬け、紫キャベツ酢漬け、ザワークラウトパイナップル和え)であった。量が多いのと、しょっぱいのでかなり食べるのに苦労する。建物の外で夕食をとったグループにどこかの若い旅人が声をかけて、壊れた自転車を20ユーロで買わないかと持ちかけられる(が、当然誰も買わない)

 

夕食後チェックイン:注意事項各種

 室内は禁酒禁煙。酒・タバコは地上階のカフェテリアで呑むように注意を受ける。部屋でタバコをすうと煙感知器が作動して、これは消防署直結であるので、即座に812ユーロ(15万円)の罰金となることが言い渡される。門限は午前2時、チェックアウトは9:30まで。朝食は7時から9時とのこと。部屋割り、注意事項と明日の計画(7時集合朝食〜チェックアウト、シーツを各自片付ける、荷物をユースに預けて各自自由時間〜11時再度ロビーに集合)を学生に連絡する。フランクフルトは治安が悪いので、夜間は単独行動しないこと(特に女性は)を言い渡す。各自の部屋に分かれて、団体行動はこれでいったん解散。学生は適宜散歩したようだ。

 チェックイン時にフランクフルト〜マグデブルクの団体切符受け取る。14人分の切符がある。

 

830日 快晴であった。朝7:00ユースホステルロビー集合。朝食。パン(黒パン、穀物粒パン、白パン)、ソーセージ各種(太いものをスライスしたもの)、チーズ2(スライスしたもの)、サラダ菜、ヨーグルト、フルーツカクテル、コーヒーが出た。パンは温めてあったので美味であった。8:30にロビー集合→清算→チェックアウト→カバンを預ける。11:00再度集合を指示して各自自由行動。ユースの前のAlter Bruckeを渡って中心部へ行く。途中の信号を渡るときに2手に分かれる。一方はDom(大聖堂)の付近の中心部を歩く。結局Rathausの前の広場で合流し、歩道鉄橋を渡ってユースに戻る。ユース発11:10頃。11:2646番バスでFrankfurt Hbfへ向かう。ユースの人に教えてもらったとおり、5人用グループ1日券を3枚買って少し節約する(1人ずつ2Euro×14=28Euro, グループ券8.4Euro×3=25.4Euro)。約10分でHbfに着く。1時間30分くらい時間に余裕があったので、待合スペースに荷物をまとめておいて、半数ずつ昼食を買いに行く。坂本先生のお勧めは、生の豚肉ミンチを白パンにはさんだもの。何人かがトライする。

 

13:05頃 出発番線の9番線に行く。13:08に到着のはずが5分くらい遅れて到着する。旧式のICEであった。最新のICE3でなくてがっかりした鉄道マニアのO君であった。出発もその分遅れる。乗車後、あらかじめ予約していた席に行くが、先に座っている者がいた。座席上に指示されるはずの指定済みの電光掲示板が故障して、自由席と勘違いされた模様。車掌の説明によって、先にいた者が席を変わってくれて事なきを得る。また、重いトランクも上の棚の上に上げることで何とか片付けられる。列車の中ではO君は終始ハッピーであり、貨物車の入れ替え作業を見られたときにはとても喜んでいた。昼食は駅で買ったパン類を各自食べる。

 昼食後の車内では、自己紹介の文章を考えている者、おしゃべりする者、旅行記を書くもの、人それぞれであった。列車の中にビストロが連結されており、そこでコーヒーを飲む者もいた。ビストロはきれいであったとのこと。

 

16:10 Braunschweigで乗り換え。天候曇り。到着が少し遅れたが同じプラットフォームでの乗り換えのため、特に支障なし。荷物の片付けに時間がかかり、全員が乗るのに時間がかかる。

 

16:58 Magdeburg到着。天候曇り。Mrs.WillmsProf.Wisweh、長期滞在中の電気電子工学科佐藤孝先生の出迎えを受ける。トラックで荷物を運び、荷物の受けおろしのため清水と学生2名がトラックに乗って一足先にゲストハウスに着く。その他は徒歩で大学に向かう。大学入口に温度と気圧の表示板があり、18.61004hPaであった。

 

17:40 全員到着。荷物を持ってゲストハウスに入る。部屋割りと諸注意。特に、鍵を部屋に置いて外に出てロックアウトされると、業者を呼ばなければならず、その費用は自分持ちであることが言われる。荷物を解いて18:45に集合との指示。

 

19:00 歓迎の夕食会。マグデブルクからはWisweh教授、Mr.Willms、ゲネツケ博士の3名が参加。長期滞在の佐藤先生も参加した。女子2名と男子1名は浴衣姿で登場し、人気を博す。まずはゲネツケ博士の歓迎の言葉。RotkäppchenSekt(スパークリングワイン)で乾杯。後で調べたところによると、 RotkäppchenUnstrutFreyburgにある会社でSaale-Unstrut地域のワインからSektを作ることで近頃有名になっている模様。往路の列車内にこの会社の広告があったの坂本先生が見つけ、皆に解説した後であったので、皆も興味があったようである。

夕食メニューは次のとおり。最初に、「結婚式のスープ」(白アスパラガス、肉団子(トリ肉)、卵(豆腐のようになっているもの)、トリ肉が入っている。トリ肉は鶏ではなく七面鳥ではないかと思ったが良くわからない。メインは豚肉のシュニッツェルSchnitzel。ブラウンソースがかかっていた。付け合わせはにんじん、大根の小さいもの(蕪の小さいもの?)、グリーンピース、生野菜。主食はゆでたジャガイモ。味は日本人にも向いていたが、量が多いので残す者もいた。夕食後のデザートは、アイスクリーム3(バニラ、チョコレート、イチゴ)の生クリーム添えであった。チョコレートアイスはココア風味がしっかりと効いて美味。イチゴもたっぷりと使っているようで美味であった。佐藤先生の感想では、街中のアイスカフェの品物よりうまいとのこと。

 

夕食後、夏の学校の説明。いろいろなところの予算から費用を得ているので、そのための受け取りのサインをした。

夏の学校書類一式をもらった。主要な中身は次のとおり。

l        明日の朝のコンピューターセンターの手続きのための必要なIDとパスワードを書いた紙

l        Mensaで昼食の支払いのためのプリペイドカード(25Euro相当の中身が入っている。会計に提示すると自動的にカウントされる)

l        ホストファミリーの名前が書いたもの。

l        予定表

l        キャンパスマップ

l        マグデブルクのガイドブック (英独いずれか)と地図

 

これから数日間の行動の説明を受ける。朝食時間ならびに集合(出発)時刻が指示される。説明会後、解散。

 

自室に戻って下着を洗濯する。10時頃選択終了して室内干しにしたところ、明朝6時に薄手のものは乾いたが、やや厚手のものはまだ少し湿っていた。

 

 

831日曇り時々小雨。 本日のみ朝食は9:00から(平日は8:00から)

パン(白、黒)、ソーセージ薄切り、チーズ薄切り、ジュース類、バター、ジャム、コーヒー、紅茶の基本メニューのほか、昨日の晩作ったと思われるシュニッツェルがつく。

 

10:00から計算機センターでのガイダンスならびにキャンパスツアー

Guidance at Comuputer center by Mr.Hammer

Kontact büro: answers the questions

RTL1, RTL2, RTL3, RTL4 7-21 Uhr (Week days)

 

キャンパスツアーでは学内を見て回る。学生のアンヌさんが案内。

 

11:15頃から大学を出て市内ツアー。Breiter Wegを通って市庁舎前まで行き、ガイドの人に合流。市庁舎前Alter Marktのティル オイレンシュピーゲルの石像、市庁舎RathausOtto-von-Guericke像の説明を受ける。その後JohanniskircheKlosterHundertwasser HausDomと行き、帰りは路面電車で大学まで。

 

13:15Mensaで昼食。豚のシュニッツェルか白身魚のフライ。シュニッツェルはジャガイモ、ブロッコリーが付け合せ、ソースはブラウン。これに小鉢に入ったキャベツ千切り酢漬けをつけると3.5ユーロ。まずまず美味。白身魚の方は、白いソースがかかっていて、フライドポテトがつくが、いずれもしょっぱかったとのこと。カフェテリアなのでデザートの甘いものを取るものもいた。どういうわけかプリペイドカードが1人だけ動かず、佐藤先生を通じてWillmsさんに問い合わせる。

 

14:15 Mensa出発。Elbauenpark (1999 BUGA跡地)に路面電車で向かう。ここは昔の五味の埋立地を整備した場所である。その中のMillenium Towerが科学史博物館になっているので見学。Guided tourでガイドのKohleさんからいくつか説明、実演しもらう。気体の熱膨脹を利用したアレキサンドリアの自動ドア、同じくアレキサンドリアのスチームタービン(実用的な意味は無かったようであるとの説明)、真空ポンプによる人の吊り下げ(女子学生3名を空中浮遊させる)、同じく中を真空にした半球を引っ張らせる実験、真空中の羽と鉄球の自由落下、鉄球60kgをいくつかぶら下げた運動量・運動エネルギー保存のモデル、人間の目の錯覚を利用した部屋、強力な磁石の周りに多数の方位磁石をつけた磁力線の可視化(これは佐藤先生のお気に入り)、望遠鏡、など。最上部まで登って外を見る。市外が一望に見渡せる、が、雨が降ってきたのでまた中に入り、各自見学。17時に地上階の出口で集合ということで階段を下りて外に出ようとしたが、なかなか複雑で出口に出られず。

 

公園内散策。段差のところの土留めがレールの廃物利用のようで、鉄道専門(O)が喜んで写真を撮る。

 

途中に廃棄物から生成したメタンガスを燃焼する施設がある。Wisweh先生の話では、ある年に急にメタンが出なくなって原因を調べたら、ごみの上にプラスチックのカバーをかけて水が浸透しなくなったために、微生物反応によるメタン生成が起こらなくなったとのこと。水を通す工夫をしてメタンが再度出るようになったとのこと。

 

公園内では、明日の旧東欧製自動車の展示イベントがあるとのことで、東独のトラバント、ソ連製ボルガなどが続々と終結してくる。エンジンは2サイクルらしく、排気の白煙(潤滑油ミスト)がすごく、においも強い。途中でわれわれがすれ違う車にカメラを向けると、わざわざ止まって写真を撮りやすくしてくれる。よほど自分の車を見てもらうのが楽しいようである。小型乗用車から大型トラック、農業用トラクターまでが集まっている。トラックの下を覗いて、サスペンジョンが板バネであるといって喜ぶ機械科の学生たち。

 

公園内の池には白鳥のつがいがいて、子供を育てていた。池の方に近づくと親の白鳥がやってきてわれわれを威嚇する。子供(と言っても親並みに大きくなっているが)の羽の色は灰色で、「醜いアヒルの子」の意味が良くわかる。この後数週間で羽が白く生え変わるとWillmsさんの弁。

 

18:20頃 路面電車に乗って帰り、ゲストハウス到着。夕食の時間に遅れているのでカフェテリアが待っているとのことで、すぐ夕食をとる。ソーセージ薄切り、チーズ、パン、果物(小さい桃のようなもの、と葡萄が少し)、これにチャーハンが出る。チャーハンはインディカ米で、中にトリ肉が入ってたっぷりの油でいためてあり、塩と胡椒の味付け。食感としては、ソース焼きそばのそばを短く切ったものを食べているようなもの。米と思わず、焼きそばのパスタを何か細く短いものに変えたものと考えれば、美味。昼間に使った1日有効の路面電車団体券をWillmsさんからもらっているので、学生に渡す。

 

明日はLeipzig見学。8:00に朝食開始、8:30に出発であるので、出発用意をしてから朝食をとるように指示。

 

夕食後かなり雨がきつくなってきた。外に出ようかどうか学生は迷っている様子。坂本先生のところでデジカメ写真をPCに落としている学生も。

 

10時頃、花火が上がる。エルベ川の川岸あたりが打ち上げ場所と思われる。ゲストハウス東側の窓から見える。

 

91

Leipzig見学。8:00に朝食開始、8:30にゲストハウスを出発。2名集合時刻に遅れるが、かまわず定刻どおりに出発。ちょうど列の最後が建物の角で見えなくなる直前に遅れた2名はゲストハウスから飛び出してきて、列に加わる。9:07RBで出発。Halle(Saale)で乗り換える。Halleでゲネツケ博士が合流。11時頃Leipzig到着。ヨーロッパで最も大きいターミナル形式の駅であるとのこと。駅前のインフォーメションでガイドさんと合流。市内見学。東西ドイツの再統一のきっかけとなった集会が行われたLeipzigの教会とその前の広場を見る。教会はロマネスクとゴシックが混じっている古いものであったが、内部は19世紀に改装されて、やしの木をかたどった柱頭など、美しくなっていた。昔は東西の主要街道と南北の主要街道の交点であり、毛皮の取引が盛んであったとのこと。そのため、馬車が一方通行で通れるような建物ができたとのこと。その建物を外から見学する。若き日のゲーテ像、アウエルスバッハスケラー(ゲーテのファウストにも出てくる)、その前にあるファウスト博士とメフィストフェレスの銅像、市庁舎前広場を通ってJ.S.Bachが活躍したThomas教会へ行く。ステンドグラスにはバッハの肖像、そのほか、ドイツを統一したFriedrich-Willhelm 1世、30年戦争でプロテスタント側にたったスウェーデン国王Gustav-AdolfBachを再発見したメンデルスゾーンの絵があった(ちなみにメンデルスゾーンはユダヤ教徒であったので、教会に絵を飾ることに議論があったらしい。その後は大学を外から見学。大学の学生が自分たちで作った欧州最大のクラブを見る。ゲバントハウス前から路面電車で1813年のナポレオン戦争Leipzigの戦いのモニュメントを見に行く。これは、それ以前は200もの小国に別れていたドイツがプロシアによって統一された1900年代初頭に建てられたもので、統一後ドイツの「ドイツ」というアイデンティティを示すためのものだそうであり、国内にはそのようなものがいくつかあるとのこと(フリードリヒ1世「バルバロッサ」のモニュメントや、ドイッチェスエックにあるモニュメントなど)。モニュメント前でお弁当。パン、バナナ、ソーセージ、桃、チョコバー、チョコウエファースなど。中に入っていたチョコバーが賞味期限切れ(といっても3週間程度)であるのに気がつくが、そんなことは気にしないで食べる。内部は約500段の階段を登って上に上がれるとのことで、学生、坂本先生、佐藤先生、ゲネツケ博士は登る。清水は腰痛があるので下で待つ。なお、いったん登り始めると引き返しはきかないそうである。

 路面電車でHbfに戻って40分ほど自由時間。Eis-Caféに行く者が多い。Halle(Saale)経由で帰路に着く。ゲネツケ博士はHalleで降りる。降りる前に、坂本先生からハリセンボンのちょうちんを誕生日祝いに贈られる。

 マグデブルク帰着。Leo’s Bistroで夕食。魚のジャガイモ千切り包みグリルワインソースかけ、もしくはスパゲティのいずれか。量が多いので残す者多し。

 

92日曇り時々晴れ

Berlin見学。8:30ゲストハウス出発、遅刻者無し。9:05REでマグデブルク出発。2階建て車両の2階に座る。1階では朝から酔っ払っている集団が騒いでいたが、彼らはポツダムで降りて静かになる。スポーツチームのファンのような格好をしていたので、何かポツダムで試合があるようである。到着前の車内放送の前にチャイムがなるが、それを録音しようと皆がんばる。Berlin Zooには9:40頃到着。今日は日本人ガイドの浜田さんのガイドにより説明を受ける。Wisweh教授とWillmsさんとは、ここでいったん別れる。ベンツのミニバスで市内を2時間回る。戦争で破壊されたカイザーウィルヘルム記念協会、動物園入口を通って、ベルリンの壁の残された場所を見る。ここは、特にヒトラー時代にゲシュタポ、SS, 国家保安省のあった場所であり、それらの地下室の発掘がされた場所である。ついで、バスにより昔の東ドイツへの入口の一つであったチェックポイント チャーリー跡を通る。ウンターデンリンデン通りへ出てフンボルト大学前→ドイツ大聖堂の前に行く。バスを降りて大聖堂の説明を外で聞く。この一帯はペルガモン博物館、旧博物館など、博物館が多く川に挟まれた部分なので「博物館の島」といわれている。バスに乗り国会議事堂前〜大統領官邸・大統領府前〜ジーゲスゾイレ前〜617日通りを通ってブランデンブルク門〜ホロコースト記念碑前へ行く。ホロコースト記念碑の中を見学する。その後、徒歩で芸術アカデミーの中を通ってブランデンブルク門へ。ここでWisweh教授とWillmsさんと再会する。ガイドさんとはここで別れて国会議事堂Reichstagへ。中央天井のガラスドーム部分へ登る列に着く。ただし、待ち時間30分以上ということで、階段に座って適宜弁当を食べる。中身は昨日とほとんど同じで、パン、バナナ、ソーセージ、桃(またはプラム)、チョコバー、チョコウエファースである。食べていると雀が寄ってくる。われわれの番がやってきて、中に入るとセキュリティチェックがある。ここでも結構待たされる。ここでアクシデントが起こる。学生1名が急にふらついて倒れる。係りの人が来て、別の場所にWisweh先生と坂本先生の付き添いのもと休憩を取る。残りはセキュリティを通過して屋上へ。ベルリンが一望に見渡せる。見学終了後、階下へ。1階居残り組みと合流。ここでどういうわけか、階段のところに漫画「テニスの王子様」のコスプレをしたドイツ人の若い女性たち(高校生くらいか)10名以上の集団でいる。ポーズをとってもらい写真を撮る学生あり。この後、2時間自由行動(14:30-16:30)で、再集合場所はブランデンブルク門。先ほど倒れた学生は、じんましん様発疹が各所にできていて、Wisweh教授とWillmsさん、坂本先生、清水とともに行動を控える。まず、芸術アカデミーの中にあるカフェでコーヒーを飲みながら休む。発疹は顔にまで広がり、かゆい様子。ここで予定の変更を議論。本来は夕食をベルリンでとってからマグデブルクに戻る予定であったが、大事をとって5時過ぎベルリン発の列車で戻り、マグデブルクで夕食をとることにした。歩くのにさほど支障は無いようなので、門の周りのお土産屋を見て回る。16:30集合。バス100(2階建て)Zooへ戻る。17:19REがあるのでプラットフォームに上がって待つ。ここで、コインの話になって、ユーロのコインは各国で作っているので、片面は共通であるが裏面が各国の意匠であるので、いろいろなものがある。1人だけドイツのコインであるが、何かの記念に作られたものを持っていて、これは珍しいものであるとのこと。RE乗車。途中ポツダムで、サッカー観戦帰りと思われる酔っ払いの集団が乗ってくる。相変わらずうるさい。マグデブルク到着。Willmsさんのご主人が来ている。皮膚科の医者だそうで、佐藤君の様子を未に来るようWillmsさんが呼んだとのこと。皮膚の様子、食べたものを質問して、おそらくすっぱい果物を食べたせいではないかとのこと。しばらくすっぱい果物などは食べないように言われる。Willmsさんのご主人を含めて、ピザの夕食。各自それぞれいろいろなものを頼む。1枚の直径が40cmくらいで、ほとんどの人は残す。とにかく塩分が多い。材料がチーズ、ハム等なので塩分が多いのは仕方が無いかもしれない。

 おなかがいっぱいになってゲストハウスへ戻ったときに、キッチンに張り紙があって、新潟大学の学生向けにケーキが大量においてあった。張り紙には、生のクリームなどを使っているものは、今日中に食べるようにとのこと。皆でがんばって食べる。さくらんぼのトルテ、ケシの種をクリームに大量に入れたものをはさんだケーキ、などがある。食べきれず、残ったものは明日に。Mさんが借りた冷蔵庫が役に立った。すると廊下の電話が鳴って、入口の扉を開けてくれとのこと。あけると、2000年の夏の学校に参加した学生が来て、その人が持ってきてくれたとのこと。しばらく話をする。

 

93日 朝は雨

朝食にケーキを食べる。特に傷んだ様子なし。

8:50集合

9:00Language course

Frau Sussane Engelが講師。時間帯90-20分休み-70(9:00-10:30, 10:50-12:00)

語学の初心者ばかりで驚いた様子。まずはアルファベットのドイツ語発音から。自分の名前をアルファベットで説明できるようにする。それを聞き取ってアルファベットで黒板に書くようにする。いくつかの子音について発音を学ぶ。kn-, -b, -d, pf-, th, s-, sp-など。母音のつながったものも同様ai, ei, au, äu, eu等。

 

今日習った表現:Haben Sie gut (oder schlecht) geshlafen?

Gesundheit! à Danke!

 

午後は機械工学部の見学。実験室を見学。かなり大きい機械(原理を習得する古い機械から最新の研究用機械まで)、形状測定装置(3次元+回転)、その他小型測定装置など見学。金属薄肉材料の加圧成型見学。次に、最新の高速研磨装置で実際にフライスのエンドミルを削り出すところを見る。機械の学生は食い入るように機械の動きを見る。最新の3次元測定装置は、空調が故障中のため、今は精度が出ないが、1μmの精度があるそうである。この装置の主要な構成素材は天然石であり、たわみが無いことが長所であるが、湿度の変化で狂いが出るそうで、温度とともに湿度を厳密に制御しなければならないそうである。また、湿度がいつでも低いので、オペレーターの鼻と喉には良くないようである。

Fabrik Institute見学。ある高名な建築家の設計で、カラフルに彩られている。ほぼ半分がマグデブルク市の出資、残りが大学の出資である。小さな企業がいくつか入って試作・性能評価などをしている。高速プロトタイプ試作装置(粉末やプラスチックで型を3次元的に作る装置)や電波暗室、3次元測定装置を見る。

 

夕食後各自自由行動

 

94

9:00Language course 各自で教室に集合。

発音ならびに聞き取りの復習。自動車のナンバープレートを聞き取る。

自己紹介の仕方Ergrüssung/Vorstellungの仕方を習う。Frau Engelの板書はunの区別が付きにくい。

 

昼食はMensa。豚スペアリブの焼いたもの(かなり大きい)。付け合せはザワークラウト、ポテト。胡瓜の薄切りの小鉢があったので試してみたところ、甘酢がかかっていて、日本の酢の物の味がする。

 

午後、Infomatik見学。学科全体の説明をパワーポイントで受けた後、見学。バイオメトリックス(生体認証)の研究室見学。壁にはレオナルド・ダ・ビンチのカノンをもじって、体のそれぞれを認識するとの説明が貼ってある。筆跡認識、顔認識、指紋認識などの実演を見る。筆跡認識では、タブレットの上でのペンの移動速度、筆圧、ペン角度の認識をして、サインが同一人物であるかどうか見る。指紋認識では、指紋の中の分岐点や途切れた点を認識し、登録したものとの同一性を見る。顔認識ではカメラで顔写真を撮り、奥行きを含めた3次元画像を出す。このほかに無響室もあり、音声認識もするようであるが、時間の関係で見ず。

 

コンピューター室見学。学内のネットワークなどを管理するコンピューター室で、多数のストレージ、サーバー、バックアップシステムを見る。空調がすごくうるさい。

 

フラウンホーファー インスティテュートIFF VDTC(Virtual design and training center)訪問。大学から10分ほど歩く。エルベ川にある古い港の新しい研究所なので、周囲には古いレンガ作りの倉庫などがある。この研究所の周りに新しく作られた道路の名前が、Joseph-von-Fraunhofer-Str.や、Welner Heisenberg Str.というサイエンス関連である。360度をスクリーンに囲まれた部屋で、360度バーチャルリアリティの実演をうける。12個のレーザーで周囲に画面を投影する。中央の円形ステージ(地面に固定された)の上に立って、周囲の絵がコントローラーの操作によって次々変わるのを見る。周囲の絵が傾くと自分までが傾くような気がしてよろける。鉄道変電施設のトランスの交換作業などの手順をバーチャルリアリティでいろいろな角度から眺めた。また、自動車工場の生産ラインの中を自在に動いた。実演された工場のデータをコンピューターに入れるのにどれ位かかったかを聞いたら、2年くらいかかったとのこと。

 

16:30頃 大学に戻り解散。とたんに強い雨が降り出した。が、すぐ晴れる。

18:00 学生は夕食後、International Officeのアレンジで、現地の学生とともにボーリングへ行く。坂本先生、佐藤先生、清水はWisweh先生と一緒にRector(学長)を訪問。夕食の招待を受ける。旧市庁舎地下のRathauskellerEisbeinをご馳走になる。美味ではあるが巨大な肉の塊のため、食べきれず残す。付け合せはマッシュしたグリーンピース、ザワークラウト、ゆでたジャガイモであった。佐藤先生、坂本先生はビールを、清水はSaale Unstrut (Freyburg)の白ワインMüller-Thurgau種をいただく。徒歩でゲストハウスまで歩く。

 

96日晴れ9:00集合

本日はWolfsburgのフォルクスワーゲン工場を見学。マグデブルクからWolfsburgまでディーゼル列車2両編成で行く。途中は非電化単線区間である。この区間は、腕木式信号機が入っていて、また途中の踏み切りも人が操作するタイプであった。ドイツではICEのような最新鋭の高速鉄道があると同時に、このような古いものがまだ残っているのかと感心する。ただし、使われているディーゼル車両は新型であり、乗り心地、内装、トイレのいずれをとっても非常に良いものであった。先頭車両の運転席の後ろは素通しのガラスであり、運転席が良く見えるとともに、腕木式信号機の動作が良く見える。相変わらず風力発電の風車が多い。

Wolfsburgでは展示施設をガイドの案内付きで1時間程度見学。デザイナーが作ったアイディアを1/4モデルにする自動切削機械、自動車が転倒したときのドライバーを模擬する2軸回転付きシート、霧の中を体験する煙室等を体験する。ここではフォルクスワーゲングループだけでなく、いろいろな自動車会社の時代を象徴するようなエポックメーキングな自動車が展示されている。

 ガイドツアー終了後は、各自自由見学。昼食は、いつものゲストハウスカフェテリア製の昼食キット(パン、ソーセージ、ゆで卵、バナナ、ミルクコーヒーパック、菓子類)であるが、先日のすっぱい果物で起こった皮膚トラブルの話が行っていたようで、すっぱい桃などの果物ならびに果物ジュースは無し。心遣いを感じる。なお、ここの展示館には日本食レストランがあり、ラーメン、餃子が食べられる。ラーメン10.5ユーロを試す。やや汁が甘い(砂糖かみりんのようなものの味)がするが、どこかの地方のラーメンと思えば(実際に昔の金沢でこのように甘い汁のラーメンを食べたことがある)、普通の品物である。各自いろいろ見学してきたようである。

 帰路は同じ区間を同じようなディーゼル車で帰る。清水の座ったあたりでは、鉄道の振動についての話があり、伝達関数やラプラス変換といった言葉が飛び交って、ちょっとしたミニ講義になっていた。鉄道でも自動車でも、単一の知識だけでは作れるものでなく、構造、制御、材料、その他もろもろの知識を統合しないとできないことが少しはわかってもらえたと思う。

 

96日曇りのち晴れ

午前中の授業は、自己紹介を各自がする練習。自分で考えた5文章を発表。そのあと、聞き返し方Wie bitte?などについて説明を受ける。

 

午後は風力発電の会社のEnecon見学。風車の回転部と発電機の間にギヤボックスがない形のため信頼性が高いとのこと。その代わり、発電機は72極のものを使っていて、巻き線形状が複雑になるので手作業で作っていた。単線直径2mmくらいのエナメル線の束を手作業でステーターの溝の中に入れていた。風車は最大で直径125mくらい、発電出力6MWくらいのものが作れるとのこと。その際には200mくらいの塔の高さになるそうである。ローター部を作るところ(旋盤、穴あけ、コイル巻き、塗装)と鉄製の塔を作るところを見学。風車のカウリング部は小型ではプラスチックであったが、大型のものでは内部で発生した熱を逃すためにアルミ製になった。鉄製の塔は厚み45mmくらいの平板を機械加工で円筒にして溶接し25mまでの部品にするところを見学する。また、外では22mの長さの風車のブレードを見学。材料はFRPであるが、芯になるところで強度を必要とするところはバルサ材を使っていた。翼断面形状も従来の流体力学計算に基いたプロペラのような翼型とはまったく異なるもの(※坂本注:プロペラよりは水車の発想に近い、教科書には載っていない独自の設計思想による翼型)を用いているとのこと。また、先端にはウィングレットがついていた。先端部はアルミ製であり、そこが避雷針になっているとのこと。発電部には水平回転用ギヤモーターがついていて、塔頂で風向き測定して風車の前面を風に向けるようになっているとのこと。また羽のピッチも変えている。これらはコンピューター制御である。発電機内部温度などの情報を1000程度の測定点で測定し、異常監視をしている。大型の風車では2700点程度の測定情報があるそうである。発生した電力はいったん直流に変換して、交流に戻してからグリッドにつなげるとのこと。部品の自社内製比率は非常に高い(80%くらい)

 

97

午前中はドイツ語授業。自己紹介の仕方など、次々と覚えるlangsam aber sicher。新しいトピックは時刻の聞き方。

午後は電気と情報工学科見学。2個のカメラからの立体像の認識をして自動車用距離測定を行う機械(専用チップを使ったハードウェアによる計算)や、顔の3次元画像から特徴を抽出して表情などを読み取る方法(表情そのものだけでなく、その掲示変化を併せて評価)、画像の補正技術としてのニューラルネットワーク、200MHzから18GHzの電波を機器に照射できる電波室(電子レンジの巨大なもののようなもの)を見学。電力制御研究では燃料電池や太陽光発電などの分散電源(直流発電)をグリッドにつなぐための送電システムの研究を行うとともに、燃料電池(固体高分子型、および固体酸化物SOFC)の研究を行っていた。固体高分子型では電極にカーボンカーボンコンポジットを用いていた。マイクロおよびセンサー技術(講義のみ)では、医用電子工学として、CTの立体画像化、画像補正(散乱補正)、高性能カテーテルなどの研究が紹介されていた。ここでは、ボローニャプロセスで、これまでの5年制Diplomaから4年制Bachelor+2年マスターへの過渡期にあるそうで、学部での学習時間は短くなるがそれでもインターンシップを行うとのことである。

今日の夕方からホームスティウィークエンド始まる。学生は23日でホストファミリーのところで過ごす。18時少し過ぎまでには、すべてのホストファミリーが学生をピックアップしていく。困ったことに、ケーキをもらったときの容器がなくなってしまい、返せなくなる。しばらく様子を見ることとする。(追記:帰国後、見つかったとの連絡がWillmsさんよりあり)

 

98

学生はホームスティでいない。静か。

 

佐藤先生、坂本先生、清水はWisweh先生とMrs.Willmsの案内でベルリン近くの空軍博物館へ行く。第1次大戦から最近までの飛行機(本物)が展示されている。お土産屋ではトルネード用のジェットエンジンのタービンブレードが売っていたので、清水がローター(3Euro)とステーター(2Euro)の羽を1枚ずつ買う。ステーターは空冷用の穴が開いていてその付近だけ色が変わっていた。移動は大学の所有するBMWワゴンを借りたとのこと。5人乗りであるが、後部座席がバケットシート様になっていて、4人で座れば快適この上ないが、5人になるととたんに両側の人のバランスが崩れたり真ん中は足が動かせ無かったりと、つらくなる。アウトバーンでは最高200km/h近く出したが、それでも特に不安はないくらいの安定した走行であった。道路が広いのも安心感があった。

 

99

学生はホームスティで夜までいない。静か。

佐藤先生、坂本先生、清水はWisweh先生とMrs.Willmsの案内でWörlitzのイギリス式庭園を見に行く。夕方、Wisweh先生の自宅でバーベキューをご馳走になる。Dr.WillmsもギターとWillms博士の処方によるDigestivを持って参加する。ドイツの歌を歌って、その中には日本語の歌詞があるものもあって、それぞれの言葉で歌う。

 

夜、学生が帰ってくる。また騒がしくなる。

 

910

午前はドイツ語授業。ホームスティの感想などを話す。

 

午後は廃棄物焼却炉見学。ストーカー式で年間63tの処理能力がある。マグデブルク市内だけでなく、Sachsen-Anhalt州全体からごみを持ってくる。スチームは150bar440℃。発電と周囲への熱供給(送出100℃、帰還70)を同時に行う。環境対策としては、NOxにはアンモニア水吹込みによるSNCR、酸性ガスには石灰吹き込み→フィルター捕集がつけれれていた。廃棄物ピット、焼却炉本体、タービン、空冷式コンデンサー(復水器)、中央コントロール室、灰の払い出し、ごみの受け入れなどを見学した。

 

廃棄物焼却炉から出てさらに北に行くと、Enerconの工場と新社屋が見られる。新社屋はS字を横にした会社のシンボルマークの形のビルであった。ここでは、巨大な風車の羽を製造していた。

 

それからさらに北に進んで、エルベ川と運河の立体交差ならびに、それらの10m以上の水面高低差の間で船を移動させるゲートを見学。ちょうど船が出て行くところであった。立体交差は内野の新川−西川にもあるが、それをさらに巨大化したものであった。熱膨張などの吸収のためのエクスパンジョンの部分に興味が持てた。

 

 

911

午前はドイツ語授業。

 

午後はShönebeckにあるNammoグループの弾丸工場のSK Jagd- und Sportmunitions GmbHを訪問する。狩猟用散弾銃や競技用小型銃の弾丸などを生産している。この地方は、塩を産出する地方であり、その結果化学メーカーができ、また軍事国プロシアのニーズもあって、弾丸製造が起こったとのこと。製造ライン(鉛インゴットにアンチモンを加えた弾丸用鉛ワイヤーの製造→切断・バリ取り・黒鉛塗布→薬きょうのプレスによる型製造(10段のプレス段階で製造)→熱処理→発火薬充填(湿らせると発火しないもの)→弾頭成型→火薬充填、弾頭設置→検査・箱詰めの全体のラインを見学する。見学後は、会社の顧客サービスチームの指導による試射をする。サービスチームの一人はヨーロッパの大会で2位になった名手であるとのこと。各自0.22インチのスポーツ銃によるスポーツ用弾丸、ならびに散弾銃による散弾(Horridoタイプ)の試射を行う。Prof.WiswehMrs.Willmsの腕前は相当なもの。

 

見学後は、町の起こりとなった製塩装置の見学に行く。地下水をくみ上げて蒸発でその中の塩分を濃縮するための蒸発塔を見学する。蒸発塔は木の枝を組み上げてその中を上から下に水を流下させながら蒸発させる装置である。また、この装置の近辺にはクアハウスがあり、診療なども行っている。診療施設の中を見学させてもらう。

 

最後は、地元のレストランで伝統的な夕食。硬めに焼いた丸パン(ライ麦パン)の中をくりぬいて、その中にシチューを入れたもの。パンを食べながらシチューを食べる。最後にラードと塩と胡瓜のピクルスで残りのパンを食べる。

 

 

912

午前はドイツ語授業。

 

午後は徒歩で地元のTVおよびラジオ放送局のMDRを訪問。MDRは政府機関ではないが公共放送で、視聴者からの受信料と広告でまかなわれている。主にドイツ東部のニュースなどを放送している。技術的には、内部でデジタル化が進み、音楽、アナウンスなどもデジタル編集をしている。TVスタジオ、中央制御室、ミキサー室、ラジオスタジオなどを見学する。MDR内のカフェでケーキならびにコーヒーをご馳走になった後、Star bridgeを通る。この橋は、第2次大戦で破壊されたが、各方面からの寄付を募って再建したとのこと。寄付をした人の名前を星型のプレートの上に刻み込んで、橋の袂のモニュメントにはめ込んである。結婚記念、誕生記念、亡くなった人のメモリアルなど、いろいろな星があった。橋の中心はかなり揺れた。一定の周波数であったので風などによる振動と思われる。夕刻はWisweh先生の研究室によるバーベキューパーティ。ホストファミリーも何組か参加して和やかに終わる。

 

913

午前はドイツ語授業。今回が最後ということで、言葉というよりは生活習慣などの違いについて話し合う。授業終了後、何人かの学生が先生にお礼の小さなものを手渡した。

 

午後は、Faculty of Chemical and Process Engineeringを訪問。何年か前に一時期新潟大の学生であったPeglow君が説明してくれる。Peglow君の領域である流動層乾燥、造粒、コーティング関係の実験設備を見学した。企業との連携が進んでいて、実用規模よりわずかに小さいパイロットスケールでの装置で研究が行われていた。また、基礎的実験として小型のものも見られた。計測設備として、粒子物性評価機器(強度、粒径分布など)を見学した。ドイツの化学工学関係の大学は、パイロット規模の大きな実験装置を使うのが、日本との大きな違いである。

 

その後、Max-Plank Instituteを訪問。プラント実験室ではメタノール直接発電燃料電池、反応蒸留の設備を見学した。すべて装置はドラフトチェンバーの中におかれており、安全面での配慮がなされていた。また、実験室に入る者は、すべて安全めがねの着用が義務付けられているようで、見学者も全員安全めがねをかけた。この後、ナノ粒子合成の研究室を見学した。エマルジョン内で粒子を合成するとのこと。反応だけでなく、流体、制御、システムなどと連携をすることで、プロセスシステム構築を目指している姿勢が強調されていた。

 

914

本日の日中は何も予定が入っていないフリータイム。学生は各々出かける。昨日までは天気が悪かったが、本日は快晴。

 

清水はMさんおよびAさんとともに、IFF VDTCGohla博士、Tepper博士を訪ねる。まず、1階のホールでやっている研究発表会で、Dr.Thomasのバイオマス分散利用の発表、Dr.Endigの知識ベース構築〜バーチャルリアリティによるプロセス構築支援の話等を聞く。研究室を見学して、新しい小型流動層ガス化装置ならびにタール分解装置について話を聞く。夏の学校の後、3ヶ月の留学に入るMさんの今後の研究室見学について打合せをする。Mr.Hermannが担当することになり、詳しい日程などは、当人同士の連絡をすることになった。Mrs.Willmsには、日程調整後、Mさんから連絡することとなった。

 

夕方8時からFarewell party。ホストファミリーも参加して、Mensaの階上(日本の2階、ドイツの1F)で行う。途中で、学生が1人ずつ夏の学校の印象を英語で話すとともに、どこかに1箇所はドイツ語の表現を入れるように指示する。授業なので口頭試問であるという形式にして、発表後はホストファミリーや教員の評価を受ける。全員、自分がうけた印象を(うまく、あるいは朴訥に)話して、AまたはA+をもらう。日本側教員からも感謝の言葉を言う。9時に終了。

 

台風が沖縄に接近し、韓国東部方面へ進路をとっているとの情報がインターネットで見られた。場合によってはインチョンから新潟までの飛行機が飛ばず、空港で1泊する可能性が考えられたので、1日分の下着を機内持込にするよう指示する。夜遅くの情報では、台風の速度が落ちたようで、飛行機の方は支障が無いかと思われるが、警戒することに越したことは無い。

 

915

本日朝は快晴。8:30より朝食。最後の朝食であるので、離れ際にカフェテリアのレナさんに贈り物をする学生もいた。

 

9:15 ゲストハウス出発。学生2名とMrs.Willmsはトラックで荷物を駅まで運び、残りは徒歩で駅まで行く。駅には何人かのドイツ人学生が見送りに着てくれる。9:58ICで出発。Wolfsburg経由でHannoverへ行く。先日通ったWolfsburg行きの単線とは別の複線電化区間で行く。Hannover11:42到着。乗り継ぎに1時間ほどあるので、ホームに荷物を置いて何人かで番をして、残りは各自サンドイッチなど買い物をする。12:41発のICEFrankfurt空港へ向かう。Mrs.Willmsの計らいで1等車に乗れる。2等車でも広いのに、3列座席なのでなおさら広い。ゆったりと旅行を楽しめる。途中のFrankfurt Hbfに行く手前にMain川を渡る。川を渡ったすぐそばに石炭火力発電所がある。街中に石炭火力があるのもドイツらしい。15:16Frankfurt空港へ到着。ターミナルビルへ移動。しばらく時間があるので、ターミナルビル地下のスーパーマーケットで買い物をする。ターミナル2へはSkylineで移動。到着後チェックインをする。何人か重量オーバーで、一部機内持ち込み手荷物への振替および中身の放棄で全員パスする。この空港では、出国審査の後に2回セキュリティチェックがあり、結構時間をとる。19:45出発。コースはマグデブルクとHalleの間でHalleに近いところを通ったので、マグデブルクは空からは見えず。もっとも日没後だったので、どこがマグデブルクかわからなかったであろうが。

 

13:00韓国インチョンに到着。途中の北京あたりは曇りで、またもや万里の長城は見えず。到着後、Transferで再度セキュリティチェックを受ける。搭乗開始の16:55までは時間があるので、16:40出発ゲート前集合を指示して各自自由行動。カップラーメンを買うもの、韓国料理を食べるもの、いろいろであった。最後の旅程の新潟行きは、30分程度遅れて出発。途中で1ヶ所大きく揺れるも、特に支障なし。機内食は牛肉と野菜を煮た物のライス添えであった。新潟着陸後、誘導路が一部閉鎖になっていたので迂回し、また、出発便が先に誘導路に入っていてゲートに行く道をふさいでいたので、スポットに着くのにかなり時間を要した。機外へ出ると、早速高温多湿のお迎えであり、どっと汗が出る。入国管理、検疫による体温検査(赤外線カメラ)、手荷物受け取り(意外と時間がかかった)、税関と進み、ようやく外へ出る。なお、今年の7月から、免税範囲外でも申告書を書く必要があるとのこと。学生のうち1人のカバンの外側のハンドルが壊れていたので、航空会社に問い合わせたが、カバンの外側については免責事項とのことで、保険会社に問い合わせるように言われる。税関から外に出て、全員がそろったところで解散。最終バスの時間ぎりぎりで飛び込んだ者、家族、友達に迎えに来てもらったもの、それぞれのやり方で帰った。