ごあいさつ

新潟大学は、本州日本海側ライン唯一の政令指定都市に位置する大規模総合大学であり、日本海対岸のアジアを基点に世界に開かれた「知のゲートウエイ」として、世界と協働した知の創造を推進し、国際感覚に満ちたグローバルキャンパスの中で、高度で多様な頭脳循環の場となることを国際連携ビジョンとして掲げています。このビジョンを背景として、国際交流ネットワークの強化を通じた国内外地域の課題解決や豊かな未来の創生のため、新潟を起点としたグローバル人材育成と大学教育のグローバル展開力の強化に取り組んでいます。

工学部では、新たな実践的課題解決型の融合的教育として「ドミトリー型教育」を開発し、高GPA学生数の増加のみならず、サイエンスインカレや国際会議での受賞等の成果で注目されています。「ドミトリー」とは、「学生寮」に先輩、後輩が集うように、学科や学年を越えた少人数のチームを結成し、そのチームが研究活動に勤しむ場を意味しています。チームで研究を行うことを通して実践的な研究遂行能力は勿論のこと、協調性やリーダーシップ能力の涵養、さらには工学系技術者にとって必要な社会科学的視座を含めて工学を俯瞰する力を育成すること、それがドミトリーを活用した「ドミトリー型教育」の目指すところです。

本事業は,2016年度の文部科学省「大学の世界展開力強化事業(タイプB:ASEAN地域における大学間交流の推進)」の採択を契機に開始されたものです。新潟大学学生とASEAN・メコン地域の大学の学生が,学年縦断・分野横断・多国籍のチームを結成し,新潟の地域企業との連携・支援による国際グループワークインターンシップ科目を主体とした国際的な「ドミトリー型教育」に取り組むことで,地域創生課題の解決能力と融合的視点をもつ実践的な理工系グローバル・リーダー人材を養成してきました。コロナ禍で海外渡航ができなくなった2020年度以降も,渡航の代替としてではなく,積極的にオンラインの利点を取り入れ,国際オンライン協働学習の手法を用いた新たなプログラムを展開し,ポストコロナにおいては,対面とオンライン,それぞれの限界を補うべく「ハイブリッド型」として組み合わせて多様化させ,先進的な取組として,本学のグローバル展開力の強化に貢献しています。

2021年度に文部科学省採択事業としてのプログラム実施は完了しましたが,引き続き,実践的課題解決型人材の育成という社会要請に対応すべく,また,本学が目指す「国際感覚を醸成するグローバルキャンパスの構築」に寄与すべく,本取組を自立発展的に継続してまいりますので,今後とも変わらぬご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。