
神経生理学、または生体医工学の手法を用いて視覚系、脳神経系の研究をしています。眼に飛び込んでくる私たちの周りの世界にはいろいろな情報が含まれています。形や色、文字や映像などの視覚情報を生き物が有効に使うためには、眼球が正しく動き、脳が視覚情報を分析しなくてはなりません。その過程を調べることで、視覚情報に対する生体の反応特性、脳の機能、延いてはからだ全体の状態をモニタしようとしています。実験はヒトや動物を対象として、脳や眼球、心拍や血圧などの神経・生理的指標を計測します。そこから体の情報を分析して健康や生活の安全に役立てる研究をします。
最近は、テレビやパソコンでリアリティの高い映像に触れる機会が多くなりました。3D映像も家庭や映画館で見ることができます。迫力のある映像は、時として生体に影響を与えることがあります(吐き気やめまいを伴う”映像酔い”という現象です)。安全な映像とは何か?映像酔いのメカニズムは?私たちの出番です。
脳や神経の病気では、眼に異常が見られることが多くあります。またストレス状態が強いと自立神経系に異常が見られます。そのような体の変調を早期に見つけるために、眼球運動や瞳孔を解析する方法も研究しています。
本学医学部や他大学の先生との共同研究を多く実施しています。活気ある皆さん、一緒に研究しましょう。

f-MRIのよる脳機能解析

視覚刺激中の眼球運動解析

昨今では,インターネットで手軽に地図を閲覧できるようになりました。初めて訪ねる土地の周辺地図を印刷して,それを持って出かけることを,多くの人が日常的におこなっていることでしょう。しかし,そのような地図の閲覧と印刷も,視覚的に地図を閲覧できない重度の視覚障害者にとっては日常的とは言えません。
このような視覚障害者には,道路やランドマークを触覚的に認知できる「触地図」が役立ちます。従来,触地図は,目の見える人が手作業で作成してきました。触って分かりやすい地図とするには長時間の作業とある程度の経験が必要です。このため,視覚障害者が,いつでも,どこの地図でも,手軽に手に入れるのは難しいのが現状です。
そこで,私たちの研究室では,電子地図データを活用して,視覚障害者が任意の地点の地図を,簡単な操作でみずから作ることができるシステムを開発中です。インターネット上では飲食店情報を提供してくれるWeb API(コンピュータの関数)もあるので,それを活用することで,行きたいお店を検索して,最寄りの駅からその店までの触地図を視覚障害者が自分で作成して出かける,ということも可能になるかもしれません。
私たちの研究室ではほかにも,触覚ディスプレイによる触図描画装置や,視覚障害者の漢字理解を容易にするための教材など,情報通信技術を使って視覚障害者の生活を豊かにするための機器やシステムの研究開発に取り組んでいます。

触地図作成システム(試作版)で作った触地図